法的根拠なく原発の運転を停止させた菅直人の行為を批判しない立憲主義を訴える者たち

 参院選と同日に行われた鹿児島県知事選で三反園訓(みたぞのさとし)氏が当選したのですが、三反園氏が掲げた「原発停止」の公約に対する法的根拠がないと朝日新聞が報じています。

 

 鹿児島県知事選で10日、初当選した元テレビ朝日記者の三反園訓(みたぞのさとし)氏(58)に注目が集まっている。国内で唯一稼働する九州電力川内原発について、熊本地震後の原発に対する不安の高まりを受けて「停止して点検するよう九電に申し入れる」ことを公約しているためだ。だが法的根拠はないうえ、本人も具体的な方法は語っておらず、公約の実現性は不透明だ。

 

 この記事で注目すべきは反原発派の論陣を張る朝日新聞が「原発停止の法的根拠がない」と認めていることです。

 「原発の運転を止めるべき」と主張することは問題ありません。思想・信条の自由が認められており、誹謗や中傷に該当する文言でもない訳ですから、1つの意見として主張することが可能です。

 しかし、原子力発電所の運転を停止させることができるという法的根拠はないのです。

 

 三反園氏が公約として掲げた運転を停止させる原子力発電所は九州電力が保有する川内原発(鹿児島県薩摩川内市)です。

 仮に公約に記載されたことを実施すると、「民間企業(=九州電力)の保有する設備稼働(=原子力発電所の運転)を行政の長(=三反園・鹿児島県知事)が圧力をかけることで止めさせる」ということになるのです。この行為は近代法治国家にあるまじき行為と言えるでしょう。

 野党や反政府寄りの記事を掲載するメディアは “立憲主義” という言葉を掲げ、安倍政権を批判しています。三反園氏が掲げている公約は明らかに法治国家の統治体系を否定するものですが、批判する声をあげないのでしょうか。

 民主党の菅直人首相(当時)が東日本大震災の時に浜岡原発の運転を停止する “要請” を出しましたが、これこそ、“立憲主義” や法治国家にあるまじき独裁です。なぜ、この不法行為を厳しく断罪しようとしないのかが不思議でなりません。

 

 自分たちにとって都合の良いルールは相手に絶対守るよう要求し、自分たちはルールを守ろうともしない。このような態度をご都合主義というのです。

 昔であれば、十分に通用したでしょう。なぜなら、政権批判が仕事を思っているメディアが味方についてくれたからです。

 しかし、ネットが発達した現代では欺瞞的な考えや主義・主張はあっさり見破られた上に、実態や矛盾点が指摘され、その情報が拡散されるのです。検索エンジンを使えば、膨大な情報にアクセスできますし、賛否両論を吟味することも難しいことではありません。

 

 “立憲主義” を掲げるのであれば、現行の法律に基づく地方自治を行わなければなりませんし、メディアや支持者もそれを要求しなければなりません。もし、ルールがおかしいと感じるのであれば、ルールを変更しようと有権者に呼びかけるべきなのです。

 面倒な部分をおろそかにし、相手にだけ「法律・規則・ルールを守れ」と主張しても、共感を呼ぶことはないことを学ぶ必要があるのではないでしょうか。