米・民主党は「TPP反対」を政策綱領に明記せず、議会での承認へ

 アメリカ大統領選に向けた実質的な公約となる政策綱領に民主党は「TPP反対」をうかがわせる文言は明記されないことになりそうだとNHKが伝えています。

 

 アメリカ大統領選挙に向けて事実上の公約となる与党・民主党の政策綱領に、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に反対する文言は明記されない見通しとなり、議会でTPPを承認する可能性を残す形となりました。

 

 自国産業の保護という観点からTPPに反対する勢力がいることは事実です。生活に直結するのであれば、賛否両面が起きることは自然なことです。ただし、これは生産者の視点であり、消費者の視点ではありません。

 消費者の視点だと、「同じ品質であれば、価格を安い方が魅力的」なのです。

 TPPによって “共通ルールに基づく経済圏” ができることになります。これは、関税という国家が定める参入障壁を撤廃することを意味しており、生産者が競争を強いられる環境に置かれることになるのです。

 

 価格競争が起きることは売り手市場になるのですから、売り手である消費者にとっては歓迎すべきことです。

 また、自分たちの商品を国外にも展開できるブランド力を持った生産者も喜んでいることでしょう。なぜなら、ルールが明確化したことにより、ビジネス上のリスクも見えやすくなったからです。

 逆に困るのは『国産』という部分でしか差別化をすることができない商品を作っている生産者です。これまでは、関税が輸入品の “足かせ” となり、国内市場での競争力を保つことができました。しかし、TPPが承認されると、“足かせ” のない輸入品と市場でシェアを競わなければならなくなったのです。

 農協系の組織が「TPP断固反対」の声をあげていますが、ムシが良すぎる論理です。

 農業など第一次産業によるGDPを考えると、管轄する農水省の予算は明らかに大きすぎます。人口の大多数が従事するサービス業などの第三次産業に関係する経産省が持っている分と比較する必要があります。

 

 「攻撃は最大の防御」という言葉があるのですから、生産者であれば、日本国内の市場だけにこだわらず、TPP域内市場でのトップランナーになるという野望を持つべきでしょう。誰にも負けない商品を生産しているという自負があるなら尚更です。

 安い商品が市場に参入されると一瞬でシェアを失うのであれば、補助金を費やす理由はありません。ダメな生産者を延命させることは不良債権を抱えた銀行を延命させたことと同じです。納税者が損をする保護政策を推進する理由はないと言えるのではないでしょうか。