著名人の不倫騒動を報じたテレビ朝日が自社アナウンサーの不倫問題をプライベート扱いするのはダブルスタンダード

 週刊文春(2016年12月15日号)が「テレビ朝日の田中萌アナウンサーが不倫している」と報じています。

 プライベートな問題ということで当事者はコメントを差し控えているのですが、メディアから “プライベートな問題” をいじくり回された乙武洋匡氏がツイッターで批判するなど、メディアの身勝手な面が浮き彫りとなっています。

画像:乙武洋匡氏のツイート

 

 週刊文春が報じた内容はテレビ朝日の田中萌アナウンサーと加藤泰平アナウンサーが不倫関係にあるというもの。早朝の情報番組『グッド!モーニング』で共演する間柄として報じられています。

 “番組内不倫” というものであり、不倫問題は世間一般でも起きることですので、特に批判の声を荒立てる必要はないでしょう。

 

 しかし、他人のプライバシーを平然と踏みにじるメディア企業に属する人物に発覚したスキャンダルですから、話は別です。これほどメディアの『公私混同』が浮き彫りになったケースは珍しいと言えるでしょう。乙武氏が怒る理由も理解できるものです。

 

 公人であれば、プライバシーが制限されることは止むを得ないと感じる人がほとんどでしょう。公務員や議員といった “公人” に該当する人は一般人と比べて大きな権限が付与されており、悪事を働くことも可能ですから、付き合いなども含めて公人である期間のプライバシーは限定されるべきです。

 それ以外の “私人” に該当する人々はプライバシーが尊重されるべきなのですが、マスコミはお構いなしにプライベートなトピックであったとしても報じている傾向にあります。

  • プライバシーの観点 ー 公人:△ 私人:×
  • マスコミの観点 ー 著名人:◯ 一般人:×

 ところが、マスコミの判断基準は「著名人かどうか」で報道している傾向にあります。そして、「著名人かどうか」を判断するのはマスコミ自身で、メディアで働く社員は一般人というダブルスタンダードを適応しているのです。

 

 マスコミはアナウンサーなどの社員を “一般人” というカテゴリにおいていますが、これは明らかに誤りです。なぜなら、アナウンサーやプロデューサーは “著名人” だからです。

 例えば、番組にアナウンサーが出演していますが、それによって得られた知名度は芸能人と同じです。テレビに出ることすらできない芸能人と比較すれば、テレビ局のアナウンサーの方が明らかに “著名人” と言えるでしょう。

 しかし、一流芸能人に負けるとも劣らない知名度を持つ “著名人” であるはずの看板アナウンサーがマスコミの定義では “一般人” としてプライバシーが尊重されるべき対象になっているのです。

 あからさまなダブルスタンダードなのですから、乙武氏が憤りを見せるのは当然です。マスコミの身勝手さがテレビ朝日のアナウンサー同士の不倫関係で可視化されたことは、メディアが報道姿勢を改めるきっかけとなれば、プラスに考えることができるでしょう。

 

 “公人” の地位にあったとしても、プライベートな部分は尊重されるべきです。家族構成や子供が何をしているかなど全面ガラス張りにする必要のない部分については、“私人” と同じ扱いをするバランス感覚が求められます。

 芸能人の不倫問題を情報番組で扱うなら、芸能人と同等の知名度を持つアナウンサーの不倫問題も同じ基準や切り口で扱わなければなりません。

 他人をこき下ろすことは問題ないが、自分たちがこき下ろされることは許さないということは明らかな二重基準です。その部分を解決する気がないのであれば、手厳しいバッシングを受けて当然と言えるのではないでしょうか。