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“保険金殺人の容疑者として服役していた” 青木惠子氏が1億4000万円の賠償を求めて提訴

 大阪の東住吉区で保険金殺人の容疑で服役し、無罪となった女性が国などを相手に損害賠償を起こしたとNHKが伝えています。

 限りなく “黒に近いグレー” だった人物であっただけに疑惑の目が向け続けられるでしょう。4000万円のマンションを購入するも、支払いが滞っていた状態で起きた事件であり、シロと言い切ることはできないと思われます。

 

 青木さんは当時の警察の取り調べで、黙秘権があることを告げられず、繰り返し大声でどなられるなど違法な取り調べを受けてうその自白をさせられ、20年以上拘束されたなどとして、20日、国などに1億4000万円余りの賠償を求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。

 

 メディアが “無実のヒロイン” のように報じていますが、実態を正しく伝える責務があります。

 平成24年に「再審を開始する」と大阪地裁が命じた判決(PDF)では再審に至る経緯が記されています。青木惠子氏や朴龍晧氏が当時置かれていた環境を確認すると、彼らはシロと断言することは難しい状態であると言えるでしょう。

 

表1:事件の時系列
出来事
平成2年4月頃 青木惠子氏が朴龍晧氏と知り合う
平成2年5月末 青木惠子氏の(当時の)住まいで同棲を開始
平成3年12月頃 より高いマンションに転居、ローンで車を購入したため、生活が困窮
→ 朴龍晧氏は高収入を求め始める
平成4年7月頃 「朴氏を被保険者」、「青木氏を受取人」とした災害死亡保険金3000万円の保険契約を締結
平成4年11月頃 「青木氏の娘を被保険者」、「青木氏を受取人」とした災害死亡保険金1500万円の保険契約を締結
平成6年3月頃 家計状況がより厳しくなり、家賃の低い物件に転居
→ 青木氏はこの物件に不満を抱く
平成7年1月 新築マンションを見学
→ 青木氏が最上階の物件を気に入り、購入を決断
平成7年
1月18日
4050万円で仮契約を締結し、頭金10万円を支払う
→ 平成7年9月までに手数料170万円の支払い義務
平成7年1月末 事件が起きる東住吉区の住宅に引っ越す
平成7年3月頃 「青木氏の息子を被保険者」、「青木氏を受取人」とした災害死亡保険金2000万円の保険契約を締結
平成7年
7月22日
午後4:50頃に火災が発生。入浴中だった青木氏の娘が死亡
平成7年
8月22日
青木氏が保険会社を訪れ、保険金の支払いを請求

 

 奇妙な点は生活が困窮する中、生命保険を締結していることでしょう。

 『朴氏を被保険者とし、青木氏が受取人』である保険は一般的なものであり、違和感はありません。しかし、『青木氏の娘を被保険者』とする保険は締結しているにもかかわらず、『青木氏自身を被保険者』とする保険を締結していないのは不自然と言えるでしょう。

 子供たちの生活資金にするなら、保険のタイプを明らかに間違えています。特に、青木惠子氏自身が死亡する可能性をゼロと定義していることに “引っかかり” を覚えずにはいられません。

 

 浪費によって生活が苦しくなり、その中で保険契約を2件契約。家賃の低い物件に引っ越しするも、1年間も経たない内に新規マンションの購入契約し、(生活水準の大幅な向上が見られない中で)さらに新たな保険契約を締結しているのです。

 シロとは言えない人物であり、保険金殺人の容疑者として捜査対象になることは自然なことです。

 刑事事件で無罪となった人物が刑務所に収監されていた分の損害賠償請求をすることは珍しいことではありません。ただ、クロに近いグレーである背景を持っている人物であるだけに大きな違和感を覚える人が減ることはないでしょう。

 民事上でどういった判決が下るのか、進展が注目される事件と言えるでしょう。