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アメリカからの要求を受け入れたドイツは「防衛費を2024年までに GDP 2% にする」と宣言

 ドイツの詭弁はアメリカ・トランプ大統領には通用しませんでした。

 ホワイトハウスで行われた米独首脳会談において、ドイツ・メルケル首相が「2024年までに GDP 2% まで防衛費を引き上げる」と発表したと NHK が伝えています。

 「2% に引き上げて NATO の枠組みを維持するか、アメリカが NATO から距離を取るかのどちらかを選べ」と突き付けられ、前者を取った形になります。“キレイゴト” は現実世界では通用しないことが証明されたと言えるでしょう。

 

 会談後の共同記者会見で、トランプ大統領は「生産的だった。メルケル首相にNATOを強く支持すると改めて表明した」と述べ、NATOを重視する姿勢を強調しました。

 そのうえで、「加盟国が防衛費を公平に負担することが必要だ」と述べ、ドイツに防衛費の増額を求めたのに対し、メルケル首相は「2024年までにGDP2%まで防衛費を引き上げる」と応じました。

 (中略)

 ただ、難民や移民の受け入れをめぐり、トランプ大統領が「移民は特例であり、権利ではない。われわれの市民の安全が常に優先される」と述べたのに対し、メルケル首相は「難民が生活できるよう、中東などの国々を支援しなくてはならない」と述べるなど、立場の違いも改めて浮き彫りになりました。

 

 難民や移民に対する考え方の違いが浮き彫りとなりましたが、重要なのはドイツが防衛費を GDP 2% にまで引き上げることを明言したことでしょう。

  1. 防衛費は現行(GDP 1.2%)を維持
    → アメリカは NATO との距離をとる
  2. 防衛費を GDP 2% にまで引き上げる
    → NATO の枠組みは維持される

 マティス国防長官が渡欧した際、「どちらを選択するのか示せ」と最後通告をドイツや EU は受けていました。今回の共同記者会見でドイツなど EU 側が以前の合意事項を遵守することが再宣言されたことになります。

 

 ドイツなどが防衛費の引き上げを渋っていた理由が身勝手なフリーライダー的なものだったため、このロジックが認められれば NATO や EU の枠組み自体が破壊されていたことでしょう。

  • GDP 2% まで防衛費を引き上げると、財政黒字を維持できない
  • 絶対値が大きいため、GDP 2% の数値目標は非現実的
  • 人道支援も国防に関与しており、防衛費としてカウントすべき

 「ドイツが GDP 2% にまで引き上げなくて良い理由」として上記が挙げられていたのですが、資金を出すパートナー側が納得する理由とは到底言えないでしょう。

 トランプ大統領がアメリカ第一主義と批判されていますが、ドイツの要求はそれを上回るものです。明らかに “ドイツ第一主義” と言える内容になっています。タダ乗りを基本にした外交政策はすぐに限界に達すると考えておく必要があるのです。

 

 ドイツはアメリカの圧力に屈したのですが、日本も「他山の石」として防衛費に対する支出を見直さなければなりません。

表1:防衛予算(単位:億円)
項目平成29年度予算額
人件費・食費 2兆1662億円


歳出化経費 1兆7364億円
一般物件費
(活動経費)
9970億円
防衛関係費:合計 4兆8996億円

 防衛省が計上した平成29年度の予算案(PDF)は上述のものですが、GDP 比の 1% 台であり、ドイツがアメリカに約束した 2% の水準にするには 1.5〜2 倍の予算を計上する必要があります。

 人件費や食費を削ることは論外ですし、支出の適正化を図るにしても「歳出化経費」や「一般物件費」が対象となるでしょう。

 

画像:歳出化経費の内訳(平成29年度)
画像:一般物件費の内訳(平成29年度)

 現状では『基地の騒音対策費』が防衛費に計上されているのです。必要経費であることに異論はありませんが、防衛費にカウントされていることは不適切と言えるでしょう。

 なぜなら、「基地周辺に対する騒音対策費が増加すれば、防衛費が増加する計算になるから」です。「人道支援は防衛費」と主張したドイツ流ロジックの何ら変わりないことになるからです。

 

 防衛費を増加だけでは意味がないことは自明です。支出に対するコストパフォーマンスも同時に高める必要があるのですが、それができる社会情勢を作り出すことが不可欠となります。

 自衛隊仕様に特注すればするほど、価格は高騰します。また、納入する企業間で競争が起きなければ価格は高止まりしたままになって当然です。

 マスコミが『防衛産業』を批判する限り、競争は起きにくい環境が維持され続けることになるでしょう。限りある予算は上手く活用することが不可欠ですが、それをメディアが妨害し、無駄な支出が増えることは避けなければならない事態だと言えるのではないでしょうか。