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学習インセンティブが低い英語力を引き上げることは簡単ではないが、勉強しないバカの教育費を無償化する意味はあるのか

 文科省が実施している英語教育の実施状況を調査したところ、政府が目標とする数値を大きく下回る結果だったことが明らかになったと読売新聞が報じています。

 「英語もできること」に越したことはありません。ただ、学生や教員側に恩恵が見えなければ、文科省が目指す目標を達成することは困難なことと言えるでしょう。

 

 文部科学省は5日、全国の公立の中高生らを対象にした2016年度「英語教育実施状況調査」の結果を公表した。

 政府が17年度までに目指す英語力のレベルに達した中学3年生は全体の36・1%(前年度比0・5ポイント減)、高校3年生は36・4%(同2・1ポイント増)だった。政府目標は50%で、達成は厳しい状況だ。

 

 目標を設定し勉学に励むよう奨励したところで、“直接的なインセンティブ” がなければ、望んだ結果が現れないことは当然です。

表1:中高生および教員の英語力
達成値政府目標

中学3年生
(英検3級程度)
36.1% 50%
中学の教員
(英検準1級以上)
32.0% 50%

高校3年生
(英検準2級程度)
36.4% 50%
高校の教員
(英検準1級以上)
62.2% 75%

 実用英語技能検定(英検)やそれに相当する TOEIC のスコアが達成度の基準として採用されていますが、授業内容と結びつきが少ないことが達成率を悪くしている要因と言えるでしょう。

 

 なぜなら、中学3年生にとって大事なのは高校入試の英語であり、高校3年生にとって大事なのは大学入試の英語だからです。どの教科においても言えることですが、基礎的な部分を学習した後は志望校で出題される過去問を解くために特化すること当たり前となっています。

 最近では、TOEIC や TOEFL を入試で使う大学も出てきましたが、「入試の公平性を担保する」ことが難しいため、多くの大学で導入されることにはならないでしょう。

 英検や TOEIC、TOEFL で結果を出すには “解き方” を知った上で、入念な準備が必要です。「受験の用意」をすることと同じなのですが、高校受験を控える中学3年生や大学受験を控える高校3年生が入試を捨てるような行為をすることの方が起こり得ないのです。

 

 インセンティブがなければ、「結果を出す」ことが難しくなることは当然です。それと並行して浮き彫りになったことは「教育無償化を推進するメリットがあるのか」ということでしょう。

 「教育によって経済効果がもたらされる」と野党は主張していますが、結果を出せない学生がいることは否定しようのない事実なのです。

 もちろん、英検や TOEIC の受験対策に本腰を入れれば、きちんと結果を出す学生もいます。しかし、全員が中学卒業時に “中学卒業程度” である『英検3級』に合格できる英語力を身につけている訳ではないのです。

 教育無償化となれば、『英検3級』に合格する実力すらない学生であっても大学での高等教育を無料で受けられるのです。その請求書は国民全体に税金という形で押し付けられることになるのは言うまでもありません。

 

 「英語ができれば、選択肢が広がる」との啓蒙活動を行ったところで、英語だけが判断基準ではないのです。“英語しかできない人材” は “英語が母国語であるスキルゼロの人材” と何ら違いはありません。

 大学で高等的な専門スキルがあるから、英語力を持つことに意味が生まれるのです。ただ、大学に進学しただけの人材を企業が高いコストを支払って雇用することはあり得ないことなのです。

 もし、国が日本人の英語力を高めたいのであれば、韓国政府のように英語で自国の主張を行う外郭団体を複数作成し、予算と付けて人材雇用をすることが最も手っ取り早い政策になるはずです。

 “英語のできる人材” を優先的に雇用し、「日本政府の主張を英語で発信し、事実無根の情報を垂れ流すばかりのメディアに英語で論理的に反論する」という青写真があれば英語力向上プロジェクトは一定の成果を出すことができるでしょう。

 

 英語しかできず、母国でまともな仕事に就くことができないような “残念なレベルの外国人英語教員” をクビにし、教員のスキル向上から始めることが必要不可欠であると言えるのではないでしょうか。