超格安家賃で長年恩恵を得てきた浅草・仲見世通りの店舗が周辺並みの家賃を請求され逆ギレ
“超” 格安家賃で恩恵を受けてきたなら、是正されることは自然な流れでしょう。
浅草寺が仲見世通りの各店に「周辺並みの家賃に値上げを実施する」と通告したところ、『週刊新潮』が “守銭奴” と誌面で批判しています。
しかし、“守銭奴” なのは浅草寺ではなく、仲見世通りの各店舗でしょう。月2万3000円など異様なほどに格安だからです。
「9月ごろ、仲見世通りの各店に2枚の紙が配られて、そこには、来年1月からの家賃が、いきなり16倍になると書かれていました。私の店は戦後ずっとここで商いをしてきましたが、今の16倍の家賃なんて、とても払えない。ほとんどの店が払えないと思います」
と嘆くのは、通りに店を構える店主の一人である。
「仲見世通りの土地は浅草寺の所有ですが、上物は東京都のものだった。だから我々は家賃を東京都に払ってきましたが、7月に浅草寺が上物を都から買い取った。で、安かった家賃を周辺並みにするというのです」
仲見世通りにある89店の家賃の平均は月2万3000円と、たしかに破格ではある。
(中略)
浅草寺の守山雄順執事長によると、きっかけは2011年に東京都から“仲見世通りは収益事業を行っているのだから固定資産税を払え”と言われたことだったという。
1:周辺並みの家賃を払うことすら拒否する仲見世通り各店の姿勢は異様
週刊新潮は「家賃が16倍になった」と批判していますが、これは元値が安すぎるのです。
- 2万3000円(元値)×16(倍)=36万8000円
「大勢の観光客が訪れる超一等地の家賃が(周辺並みの)月額40万円弱になる」という話なのです。
浅草寺の周辺が一等地であることを踏まえると、仲見世通りは超一等地に該当する訳ですから、“周辺並みの家賃” が提示されただけでも十分に配慮されていると言えるでしょう。本来であれば、プレミアム価格が付加されていても不思議ではないからです。
その現実を無視して文句を述べる店舗こそ、論外なのです。
2:大阪・梅田の地下街(ウメチカ)でゴネた串カツ『松葉』の騒動を彷彿させる
家賃相場から著しく低い値段で恩恵を受けていた店舗がゴネたケースは過去にもあります。大阪・梅田の地下街(ウメチカ)で串カツ店を経営していた『松葉』が阪神百貨店の建て替え工事に伴う地下道拡張事業で立ち退きを迫られた際に騒動がおきました。
この時も、店舗側は周辺の家賃相場と比較して格安な値段だったことが明るみに出ました。
店側が「納得できない、一方的に立ち退きを求められた」と主張したところで、“甘い汁” を吸い続ける根拠にはなりません。むしろ、相場の家賃を支払っている大多数の人々を逆なでしているのですから、批判を受けて当然と言えるでしょう。
フェアな環境で勝負していないのです。『松葉』は訴訟に出ましたが、地裁・高裁で敗け、強制撤去が実施される前に自主的に退去しました。
仲見世通りでの “騒動” についても、「(破格の)2万3000円じゃないと嫌だ」とゴネる店舗が出ることが想定される訳ですから、借主側が強すぎる現状は是正する必要があると言えるでしょう。
3:京都の観光地を参考に、浅草寺は仲見世通りの店舗を入れ替えるべきだ
仲見世通りの土地を保有する浅草寺がすべきは「京都の観光地を参考にし、外部からも出店希望企業を募ること」です。「景観を損なうような大きな看板は認めない」というような規則を設け、周辺相場の家賃を支払う店舗を呼び込むべきと言えるでしょう。
東京都から「固定資産税を払え」と言われたことが発端であるなら、浅草寺が「そこで商売をしている店舗が相応分を家賃として払え」と主張することは当然です。
このことを棚にあげ、家賃を周辺相場並みに引き上げる浅草寺は守銭奴とバッシングする界隈の方がおかしいでしょう。東京都に「仲見世通りは収益事業ではないから、固定資産税の対象ではない」と主張するか、浅草寺に周辺並みの家賃を払うかのどちらかです。
現状は「どっちも嫌だ」とゴネ得を狙う店舗の肩を『週刊新潮』が持っているだけなのです。立場を改める必要があるのは仲見世通りで営業する店舗と肩を持つメディアだと言えるのではないでしょうか。