豊予海峡に海底トンネル新幹線で黒字も可能と大分市が発表

 読売新聞によりますと、「(大分県と愛媛県・佐田岬半島によって隔てられている)豊予海峡の海底にトンネルを整備し、新幹線を通すことで採算が確保できる」との調査結果を大分市が発表したとのことです。

 事業を継続するには「需要が存在し続けること」が必要となります。着工する場合は “初期のニーズ” に注目が集まりがちですが、開通度に10年〜20年の期間でニーズを存在し続けることが不可欠と言えるでしょう。

 

 大分、愛媛の両県を結ぶ「豊予海峡ルート構想」の実現を目指す大分市は、新幹線用の海底トンネルを整備した場合の調査結果をまとめた。

 JR大分(大分市)ー 松山駅(松山市)間で1日往復32本の運行が可能で、最速約36分で結ぶことができるとし、1日当たり約6800人が利用すれば採算性が確保できると結論づけている。

 大分市は2016年度、トンネルと橋、鉄道と道路を組み合わせた計11パターンの概算事業費を試算し、新幹線(単線)を海底トンネルで通す場合が最も安い6800億円になると導き出した。この海底トンネル案が最も実現可能性が高いとして、今年度は専門業者に委託してルートやダイヤ、営業損益などを調査した。

 

 現在、九州と四国の最短経路はフェリーでの移動となっています。陸路では「関門海峡」と「しまなみ海道」を経由する必要があり、利便性が良いとは言い切れない状況です。

 そのため、人や物の往来をより便利にするインフラを整備するメリットはあると言えるでしょう。

 

1:青函トンネルのような経済効果が生まれるか

 大分市が想定するルートは以下のものです。

画像:豊予海峡ルート(読売新聞より)

 「新幹線(単線)を海底トンネルで通す」というものですから、人の移動に重点を置いた内容と言えます。ビジネスや観光で1日平均7000人弱の利用があれば、採算がとれると示しており、可能性はあると思われます。

 ただ、大分までの新幹線が整備される見通しが出ている訳ではありません。そのため、現時点では “夢物語” と言えるでしょう。計画が動き出すことは将来のことになるでしょう。

 

2:反原発派には「危険なルート」だと猛反対して欲しい

 利益を享受する当事者である大分市が発表した調査結果ですから、鵜吞みにすることは危険です。

 おそらく、予算は国からも拠出される形となるだけに「採算が取れるか」は厳しくチェックされるべきでしょう。また、発表されたルートに猛反対しなければならない界隈も存在します。

 それは『反原発派』です。「 “阿蘇山の噴火で大きな損害が出る恐れがある” とされる愛媛県・佐田岬半島にある伊方原発の付近に新幹線を通すプラン」なのです。

 「原発は被害を受けるが、新幹線の路線は無傷」という(反原発派にとって)都合の良い事態だけを想定することはできません。そのため、「設置案そのものが誤りであり、容認できない」と批判し、猛反対する姿勢を打ち出す責務が反原発派にはあると言えるでしょう。

 

 ネット時代で観光地が顧客となる層に直接アピールできる機会と手段を手にしました。これを上手く活用し、人気の観光地となることで「利便性をアップさせる意味はある」との説得力を持つことになります。

 また、新幹線は整備計画が決定し、実際に建設工事が始まったとしても、完成までには10年単位の年月を要するという現実を見落とすべきではありません。

 マスコミに大きく取り上げられるニュースですが、完成までのニーズは沿線自治体が維持しなければならないのです。この点は絶対に忘れてはならない点だと言えるのではないでしょうか。