パチンコや競馬・競艇・競輪などの存在を棚に上げ、「カジノ(IR)反対」を訴える立憲民主党の姿勢は欺瞞だ

 立憲民主党はカジノ(IR)法案に反対の立場を鮮明にしていますが、論理が破綻してしまっています。

 その理由は「ギャンブル依存症患者を増やすな」との主張です。なぜ、このロジックが問題であるかを理解しない限り、立憲民主党は「欺瞞的な姿勢」を批判されることになるでしょう。

 

1:長妻議員が衆院・予算委員会でカジノ批判

 1月29日に行われた第174回国会・衆議院予算委員会で長妻議員はカジノ法案を以下のような内容で批判しました。(ビデオライブラリで開始から5時間30分過ぎが該当の項目を質問)

  • 日本は先進国で1番ギャンブル依存症の多い国
  • ギャンブルの接する機会が先進国で最も多い国・日本
  • ギャンブル依存症が最も多い国・日本
  • そんな国にカジノを作ってどうるのか、「カジノは作らない」と総理は宣言すべきだ

 フリップを持ち込み、ギャンブル依存症(が疑われる者も含めた)患者数が最も多いのは日本と批判。

画像:長妻議員が予算委員会で示したフリップ1

 

画像:長妻議員が予算委員会で示したフリップ2

 その上、ギャンブル用の電子機器数が最も多いことを指摘。「これ以上、カジノ依存症を増やしてどうするのか」と声高に叫んだのです。これは明らかに “戦術ミス” と言えるでしょう。

 

2:日本国内にカジノは存在せず、カジノが原因のギャンブル依存症患者はゼロ

 日本では「カジノは禁止」されており、今のギャンブル依存症患者が発生した理由をカジノに求めることは無理があることです

 もちろん、“違法カジノ” が存在しますので、カジノが原因のギャンブル依存症患者はゼロではありません。しかし、長妻議員や辻元議員がテレビカメラの前で主張する内容には無理があるのです。

 長妻議員が予算委員会で示した「ギャンブル依存症患者数:320万人」という数字を生み出した原因はパチンコであり、競馬・競艇・競輪といった “公営競技” なのです。

 宗教的に飲酒が禁止されているイスラム諸国で「飲酒を解禁とすると、世界最悪のアルコール依存症患者数が増えてしまう」という主張をしていることと同じであることを長妻議員を始めとする立憲民主党の議員は気づかなければなりません。

 

3:ギャンブルの接する機会が先進国で最も多い理由はパチンコ

 「ギャンブルの接する機会が先進国で最も多い」と長妻議員が批判しましたが、その元ネタ(PDF)は公開されています。内容を確認すれば、接する機会を提供しているのはパチンコであることは明らかです。

 ちなみに、ギャンブル用電子機器数が多かった国トップ3(2016年)の内訳は次のとおりです。

  • アメリカ:865,807
    • slots:455,591
    • VLT (Video Lottery Terminals):73,570
    • VGM (Video Gaming Machines):51,904
    • その他:16,094
  • イタリア:456,367
    • slots:2,342
    • VLT:38,482
    • VGM:-
    • その他:415,543
  • 日本:4,575,545
    • slots:-
    • VLT:-
    • VGM:-
    • その他:4,575,545

 パチンコ・パチスロという項目で取り上げられており、“先進国でギャンブルに最も接する機会がある” という状況を改善したいのであれば、「パチンコを規制すべき」と主張することが筋でしょう。

 カジノ・IR 法案が提案された際は「カジノ依存症対策」もセットとなっています。パチンコや公営競技(競馬・競艇・競輪など)では “真っ当な対策” すら講じられず、野放しになっていたのです。どちらがより大きな問題であるかは言うまでもないことです。

 

 「日本人は日本国内のカジノに入場できない」となれば、日本人のカジノ依存症患者(=ギャンブル依存症患者)は増えないでしょう。それとも、立憲民主党は “在日のギャンブル依存症患者” が増えることを気にかけているのでしょうか。だとすれば、明らかに本末転倒です。

 現状のギャンブル依存症患者を減らしたいのであれば、パチンコ利権にメスを入れなければなりません。問題を根本的な原因から解決しようと取り組むことが “真っ当なアプローチ” と言えるのではないでしょうか。