外国人観光客にスマホより、SIM カードを無料で貸し出す方が効果が見込めるだろう
NHK によりますと、神奈川県が2年後の東京五輪を見据えてスマートフォンを無料で貸し出す実証実験を行うことになったとのことです。
「情報発信」に主眼を置くのであれば、スマホを無料で貸し出すより、プリペイド式の SIM カードを配布した方が効率的と言えるでしょう。神奈川県の目指す方向性は良いと思われますが、手法については改善の余地があると言えるはずです。
2年後の東京オリンピック・パラリンピックに向け、神奈川県は、外国人観光客により充実した情報を提供し旅行を楽しんでもらおうと、スマートフォンを無料で貸し出す実証実験を行うことになりました。
(中略)
実証実験では、横浜市と鎌倉市、それに箱根町の合わせて5か所の観光案内所で外国人観光客に1日当たり50台のスマートフォンを無料で貸し出します。
スマートフォンは、英語や中国語など10以上の言語に対応していて、外国人向けの観光情報を載せた県のホームページなどを見ることができるということです。
神奈川県が提携したのは handy 社が提供するサービスです。「無制限の通話」と「無料のインターネット」を売りにし、ホテルなどが顧客に宣伝したい内容がインストールされたスマホを提供するサービスとなっています。
ただ、これで県が希望する効果が得られるかは不透明な状況です。
1:外国人観光客が文句を言うのは「無料の WiFi スポットが少な過ぎること」
外国人観光客からの不満が上がるポイントとして「WiFi (無線 LAN)のスポットがないこと」があります。ただし、これは「無料スポットが見当たらない」という意味であり、どう向き合うかは設置者の裁量次第という点を見落としてはなりません。
ユーザーの利用料を無料にすれば、利用者数は増えるでしょう。ただ、サービス提供者が無料にするだけの対価(例えば、ウェブ広告からの顧客で収益アップなど)が得られなければ、WiFi サービスを無償開放するメリットはないのです。
そのため、無料の WiFi ポイントを積極的に設置する事業者が現れにくい状況にあると言えるでしょう。
2:プリペイド型の SIM カードを無料で配布した方がメリットがあるのでは?
ただ、神奈川県が「情報発信」に主眼を置くのであれば、プリペイド型の SIM カードを無償配布することの方が費用対効果は見込めると思われます。
- プリペイド型の SIM カードを無償配布
- 初期版は無料通話30分、データ通信 250M
- 全国のコンビニで通話やデータ通信量をチャージできる
アマゾンや iTunes の「ギフトカード」形式で通話やデータ通信をチャージできれば、外国人観光客は自分が普段の日常生活で使用しているスマホを日本でも使うことができます。この方がストレスがなく、利便性があると言えるでしょう。
神奈川県としても、県が PR したい情報をまとめたウェブページをパソコン・スマホのどちらからでも見やすい形で運用し、他言語化にも対応しておくことで目的は達成できるはずです。
旅行先はある程度の下調べは行い、使えるサイトはブックマークするなどの準備はする訳ですから「最初に囲い込んでおく」という方針も考慮に入れておく意味はあると思われます。
誰でも購入が可能なプリペイド SIM カードが出回ると、犯罪に悪用される恐れがあるため、防犯対策も合わせて講じる必要はあるでしょう。国際空港の到着ロビー近くで格安通信会社が外国人観光客向けに SIM カードを販売するイノベーションが存在しても良いと言えるのではないでしょうか。