パチンコや競馬という “既存のギャンブル依存症” からは目を背け、カジノだけを批判する毎日新聞の欺瞞

 日本でカジノの導入が議論されていることに対し、毎日新聞は23日付の社説で「依存症対策の規制案は呆れるほど不十分」と批判しています。

 ただ、この主張は “カジノだけを批判する内容” となっており、明らかな欺瞞です。なぜなら、既存の環境で発生している依存症への対策・対応が完全に無視されているからです。

 

 カジノを導入した場合の規制基準案を政府が与党に示した。日本人客から徴収する入場料は2000円とする。入場回数の制限は「7日間に3回」かつ「28日間で10回」だ。

 (中略)

 ギャンブル依存症の実態は深刻だ。厚生労働省研究班が昨年公表した都市部の調査結果では、依存症が疑われる成人の割合は2・7%(全国推計では283万人)だ。カジノが解禁されれば、この数字の増加に拍車がかかる恐れがある。

 与党は、IR実施法案と併せ、ギャンブル依存症対策への国の責務などを定める法案を国会に提出している。依存症は多重債務や犯罪などと密接に関連する重大な社会問題だ。

 野党も同じ趣旨の法案を別に出している。国会は依存症対策の審議をまず優先させるべきだ。

 

 

1:入場規制と税収による依存症対策が講じられる(予定の)カジノ

 カジノが解禁されることになれば、“カジノが原因” のギャンブル依存症が発生するでしょう。これは想定されることです。

 ただ、依存症になった患者への治療費などをカジノ・IR から得られる税収で賄えるスキームが構築されているのであれば、全否定する必要はないと言えるでしょう。

  • プラス面
    • 税収増
    • 観光客の増加
    • “裏カジノ” の衰退
  • マイナス面
    • ギャンブル依存症患者の増加
    • カジノ(=賭け事)によるイメージ悪化

 要するに、「カジノからの税収分 > 依存症対策予算」という図式が成り立てば良いのです。これは規制できる内容ですから、議論次第と言えるでしょう。

 

2:依存症対策すら整備・議論されていないパチンコや競馬

 ギャンブル依存症を問題として取り上げるのであれば、パチンコや競馬など公営競技が原因で依存症になった患者への対策も必要不可欠という立場を採らなければなりません。

 「パチンコは “遊戯”、競馬は “公営競技” であり、ギャンブルではない」と主張するのは単なる開き直りです。カジノが禁じられている国で、推定300万人弱のギャンブル依存症患者がいると毎日新聞が報じた事実から目を背けているだけと言えるでしょう。

 つまり、カジノに起因するギャンブル依存症を問題とするのであれば、パチンコや競馬などを起因とするギャンブル依存症も問題視しなければなりません

 しかし、競馬で冠スポンサーを務める新聞社は完全に見て見ぬ振りを貫いています。そのため、新聞社は “ギャンブル依存症患者を生み出す側” として関与しており、政府に依存症対策を要求する資格などないのです。

 

 「カジノに厳しい依存症対策を要求するのであれば、同様の依存症患者を生み出すパチンコや競馬などの公営競技にも厳しい依存症対策を設置することを訴えなければならない」と言えるのではないでしょうか。