朝日新聞へ あなたの日本国憲法なのか

 朝日新聞が、憲法改正阻止で踏み込んだ発言を続けている。

 安倍首相は日本国憲法に定められた手続きによる憲法改正を目指す改憲派だ。発議に必要な3分の2以上の議席確保を目指すことに言及し、自身の在任中に成し遂げたいという希望も公言している。

 朝日新聞はその姿勢すら気に入らないようだが、表現の自由がある日本国内ではそういった立場を採る権利はあるだろう。だが、朝日新聞の態度には問題がある。

 

 ひとつは改憲のプロセス自体に文句を言っていることだ。

 なぜ、「定められた方法で改憲を目指す」と発言した政治家が批判されるのだろうか。改憲派の代表格である安倍首相でさえ、可能なことは改正案を国会で発議し、国民投票に送るだけだ。

 自民党案が受け入れられる内容でなければ、国民が拒否できるプロセスが採用されている。朝日新聞は “国民に信を問う” ことの厳しさを理解できていないのだろう。

 もし、有権者が朝日新聞などが主張するとおり、安倍首相のイエスマンであるなら、消費税率はすでに欧米水準の 15% 前後になっているはずだ。社会保障に財政再建などを考えるとその水準になっていてもおかしくないのだが、1桁で留まっている理由を知るべきである。

 

 つぎに憲法の問題点を無視し、私物化している点だ。

 護憲派を自称する勢力は『憲法9条と自衛隊の関係』を語ることはない。9条2項には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とあるが、自衛隊は明らかな “戦力” である。

 「自衛隊は違憲」との立場を採る憲法学者が多数派なのだが、彼らは決して「憲法に違反するから、自衛隊を解散せよ」とまでは口にしない。なぜ、護憲派の報道機関はこの点について言及することをためらろうのだろうか。

 改憲派が憲法を軽んじているように護憲派の目には映っているのかもしれない。だが、明らかな問題を抱えた条文がある憲法を「とにかく守れ、変更させるな」とだけ主張する態度も憲法を軽んじる姿勢と言わざるを得ない。

 朝日新聞も憲法によって縛られる側にいる。憲法は、“ジャーナリズム” を掲げたマスコミたちの政権批判の道具ではない。