日本政府は安田純平氏の身代金はびた一文払うべきではない

 「自己責任なのだから口や手を出すな」と日本政府を批判するツイートを投稿していたフリージャーナリストの安田純平氏は自らの主張を転換するのでしょうか。

画像:安田純平氏によるツイート

 5度目の人質となったシリアで「助けてください これが最後のチャンスです」と書いた紙を持っている様子がネットで公開されたと朝日新聞などのメディアが伝えています。

 

 昨年6月に内戦下のシリアに入国した後、行方が分からなくなっているフリージャーナリストの安田純平さん(42)とみられる男性の写真が、日本時間の30日未明、インターネット上に投稿された。男性は「助けてください これが最後のチャンスです 安田純平」と手書きの日本語で書かれた紙を持っている。安田さんを拘束している組織が、日本政府との交渉を進めるために揺さぶりをかける狙いがあるとみられる。

 

 拘束したと見られているのはアルカイダ系の武装組織『ヌスラ戦線』ですが、彼らが要求する身代金を日本政府が支払う見込みは少ないでしょう。

 まず、安田氏は渡航制限がかかっている地域に(日本政府からの制止を振り切り)自ら入りました。その結果、前々から指摘されていたリスクに遭遇し、身柄を拘束されることとなったのです。あきらかに “自己責任” であり、“自業自得” です。

 

 身代金の要求額はメディアで報じられていませんが、日本政府は1円たりとも支払うべきではありません。

 なぜなら、支払いに応じることで、日本人を誘拐すれば日本政府が身代金を支払うというメッセージを送ることになるからです。自らの意志で危険地域に入ったフリージャーナリストの尻拭いを日本政府が行う必要はありません。

 「政府が一時的に身代金を支払い、安田氏に支払い請求をすれば良い」という意見もあるでしょう。

 しかし、億単位の身代金を安田氏が支払うでしょうか。取材活動という名目で懲りずに戦地など危険地帯に出かけ、遅かれ早かれ、6度目の人質となる可能性は十分すぎるほどに存在します。

 リスクを日本政府に押し付け、自分たちが好き勝手にやる行為は明らかなタダ乗りであり、“フリーライダー” がやることです。安田氏を擁護する一部のフリージャーナリストたちは “フリーライダー” を認めろと主張していることと同じであり、検討する価値すらない意見なのです。

 

 「身代金を払って、安田氏を救出すべきだ」と主張するのであれば、有志たちで身代金を用立てれば済む話です。なぜ、そういった動きが皆無に近いのでしょうか。

 それは「自分たちが支払いに応じれば、(誘拐・拘束事件が再発した際に)身代金の要求に応じなければならない責務を負うことになる」からだと推測できます。高給を得ている大手メディアがノーコメントなのですから、支払いそのものが割に合わないことは明らかなのでしょう。

 ジャーナリズムを掲げ、自由を求めるのであれば、それに伴う責任も自らが負わなければなりません。

 『自由と責任』を都合よく解釈したジャーナリストの主張に共感する一般人は少ないでしょう。少なくとも、安田氏は「自己責任だ」と過去に自らが主張した内容を撤回する旨を発信していないのですから、政府は静観するだけで十分です。