アメリカで発生した警察官狙撃事件、銃規制の強化と警官の捜査手法改善が不可欠だ

 アメリカでは白人の警察官を狙った狙撃事件が発生したこともあり、人種間の対立が激化する懸念があります。NHKによりますと、ルイジアナ州でも同様の事件が発生したとのことです。

 

 アメリカ南部、ルイジアナ州のバトンルージュで複数の警察官がライフルを持った男に銃撃され、警察官3人が死亡した事件で、アメリカのメディアは容疑者は29歳の黒人の男だと伝え、警察は犯行の動機や背景の解明を急いでいます。

 

 銃による事件が発生するたび、「銃規制の是非」が持ち上がる傾向があります。しかし、規制強化については反発の声が強く、一向に進んでいない状況です。

 警察官が狙撃の対象となった事件では、銃による武装をしていたとしても遠距離から狙撃されるとあまり効果を発揮しないことが明らかになりました。

 

 アメリカでは警官が銃で容疑者を射殺している事例が存在します。銃撃戦になった結果、容疑者を射殺したというのであれば世間一般にも理解されるでしょう。

 問題なのは、非武装で無抵抗な人物を撃っているケースが頻繁に発生していることが明るみになっている点です。

 警察側に落ち度がある事例に対し、厳しく罰することができない組織は信頼を勝ち取ることなど到底不可能です。「仲間を守るため」に証拠の公開に消極的な姿勢は反感を買う大きな要因となります。

 「適正に捜査は行っている」と警察が公式声明を発表したところで、現在ではネットに映像や音声が簡単にアップされるのです。編集されていないオリジナル映像等を見た第三者が自らの価値観に照らし合わせて、適正な捜査だったかを判断する時代になっているのです。

 

 おそらく、アメリカ政府がどれだけ警察官を狙撃した犯人を批判しようと、抑止力としてはほとんど期待できないと思われますし、模倣犯も出てくることでしょう。

 模倣犯が出現すると考えられる根拠ですが、狙撃可能な範囲に関係するためです。警察官が装備している拳銃より、軍が採用している軍用ライフルの方が狙撃可能距離が長いからです。戦力的に劣る状況で正面から玉砕戦術を採ることはまずありません。

 銃規制を許可するのであれば、まずはライフル銃の流通制限を強化することです。それにより、ある程度の警察官狙撃は抑制できるでしょう。ただし、並行して「不適切な行為を行った警察官を厳しく罰すること」を行わなければなりません。捜査手法がリークされ、厳しい批判にさらされる内容では不満を溜め込む要因になるだけだからです。

 

 行政組織が問題を抱えていた場合、どう対処するのが望ましいのかを学べるケーススタディーとなるでしょう。

 日本の研究者も、何をすると良いのか、何をすると事態が悪化するのかを分析する題材として活用すべきだと言えるのではないでしょうか。