東電の株主やマスコミが除染費用を負担すべきで、国費を投入するのは最後だ

 政府は福島県の『帰還困難区域』で行う除染費用に国費を投入するための予算を計上したとNHKが報じています。

 この方針は明らかに順序が逆です。東京電力の株主は除染費用を1円も負担していないにもかかわらず、納税者に国費という形で請求書が回って来ているからです。

 

 政府は、来年度から福島県の「帰還困難区域」で行う除染などの費用に国費を投入する基本指針を決め、22日に閣議決定された環境省の来年度予算案にはおよそ309億円が計上されました。

 除染に国費を投入するのは今回が初めてで、従来は汚染を引き起こした者が費用を負担すべきだという「汚染者負担の原則」に基づき、東京電力に請求していたことから、与党内からも東京電力に請求すべきだという意見が出ています。

 

 除染作業は朝日新聞などメディアが煽ったことで生み出された “余分なコスト” なのですから、本来であれば、フクシマへの不安を煽り収益を得たマスコミが払うべきものです。

 その次に費用を出すのは東京電力でなければなりません。東京電力の株主が(除染用費用を)1円も出していない状況で、納税者に請求書を回すことは論外と言えるでしょう。

 

 もし、東電の株主が除染費用を負担しないなら、株価が低迷している時に買い占めた投機筋がボロ儲けをすることになります。破綻などで上場廃止になるリスクがある中で購入することは勇気のあることと言えるでしょう。

 「役所の “指導” によって、(東電の株主が費用負担すべきという)道理は引っ込むので、東電株は上昇し、儲けが出る」という思惑で株を買い集めた投機筋の判断が正しいものだったということを示すようなことがあってはなりません。

 しかし、政府は「責任の所在を有耶無耶にする」と投機筋が読んだ通りの行動に出ようとしているのです。

 事故を起こした東電が損害賠償責任を負うのは当然です。ただ、被害を過剰に煽り、余計な風評被害を生み出したマスコミも責任を負わなければなりません。メディアだけ “逃げ得” が許されるという不公平についても厳しく追求する必要があります。

 

 マスコミに対しては「軽減税率の適用を見送る」と発表すれば十分でしょう。メディアからの税収増加分を除染費用や風評対策費用として予算配分すれば良い話です。

 東電については、『存続会社』と『清算会社』に分割する形での経営再建をするべきです。少なくとも、責任の所在を不透明にし、国費をつぎ込む形を採ることは政府の負担額を増やすだけで納税者にとっての負担が重くなるだけです。

 法的根拠に基づかず、原発の運転が停止させられたままなのですから国民の生活が上向く兆しはありません。

 

 政治家に求めたいのは “庶民感覚” ではありません。“庶民感覚” ではなく、“庶民の生活水準を守り、少しでも向上させるという覚悟” です。

 その覚悟を持ち、実行できる政治家で構成された政党が与党として政権を担うべきなのではないでしょうか。