デッド・クルーズは中国からの『要望』を突っぱねたが、『要望』に寄り添う政治家やメディアは日本にもいるのでは?

 アメリカ共和党のテッド・クルーズ上院議員が中国から「台湾の蔡総統と会わないように」との要望書が来たことをメディアの前で明かし、不快感を示したとNHKが報じています。

 アメリカの議員にこのような要望書を出す訳ですから、日本で同様の行為をしていたとしても不思議ではありません。“中国の代弁者” のような発言を繰り返す議員は「中国・北京の公僕」として従事しているのでしょう。

 

 台湾の蔡英文総統は、外交関係のある中米4か国を訪問するのを前に8日、経由地のアメリカ南部テキサス州のヒューストンで、地元選出で若手の有力政治家の1人である共和党のテッド・クルーズ上院議員と会談しました。

 クルーズ上院議員は蔡総統との会談後、記者団に「会談の前に、中国側から蔡総統に会わないように要請する書簡を受け取った」と明らかにしました。そして、「中国は、われわれが誰かと会うことについて拒否権を行使する立場にない」と述べて、不快感を示すとともに、トランプ次期政権は台湾との関係を強化するべきだと強調しました。

 

 相手に『要望』を訴えることは珍しいことではありません。日本でも、政府が企業に対して賃上げを要請しているのですから、事例を列挙することは簡単なことです。

 ただ、中国がクルーズ上院議員に対して行った『要請』は内政干渉であり、反発を招くものと言えるでしょう。

 

 アメリカの上院議員が誰と会談するかは議員の裁量です。中国がそれに対する実質的な拒否権を持っていることを認めることは “自由と民主主義” を標榜するアメリカでは理解を示されないでしょう。

 クルーズ上院議員がメディアの前で不快感を示したことは別の意味で効果があります。

 それは日本や韓国で「中国贔屓」の言動をする政治家やメディアにも中国から同様の『要請』が出ていると考える十分な根拠を提供してくれたということです。

 アメリカ議会(上院)の有力議員の1人にわざわざ『要請』を行うのですから、同様の立場にある日本や韓国の議員にも中国の利益となる行動をするよう『要請』しているでしょう。

 メディアに対しても、「中国の不利益となる言論を流すならビザを出さない」との事実上の『要請』があると考えられるからです。

 

 “人権派” を名乗り、活動する政治家やメディアは中国で起きている人権問題に対して、中国政府を批判する言論を発信しているでしょうか。

 ほとんどが知らぬ・存ぜぬの姿勢を貫く一方、中国が発信したい情報については積極的に宣伝担当を担っているのです。諜報活動の一端を担っていると言えるでしょう。また、実働部隊として動く団体が存在することにも注意が必要です。

 中国の『要望』を受け入れる政治家やメディアがいるから、その手法が用いられているのだと考えれます。彼らは競って忠誠度が高いことを北京に証明しようとするはずです。

 そうした勢力を容認することは「中国の傘下に入ること」と同じです。自国民よりも他国である中国に配慮する者たちに国の行方を委ねることはリスクが高いという認識で警戒する必要があるのではないでしょうか。