アメリカ・カリフォルニア州でダム決壊の恐れあり、インフラ投資は不可欠と言えるだろう

 トランプ大統領のインフラ投資宣言に首を傾げる人もいるでしょうが、「必要な投資は行うべき」と言える出来事がアメリカ・カリフォルニア州で発生しています。

 サンフランシスコ・クロニクル』によりますと、カリフォルニア州の水瓶であるオロビルダム(Oroville Dam)が決壊する恐れがあり、10万人以上が避難するよう指示されたとのことです。

 

 OROVILLE, Butte County — More than 100,000 people downriver from Lake Oroville were ordered to evacuate Sunday night after an emergency spillway next to the reservoir’s dam appeared in danger of collapse.

 While the integrity of Oroville Dam is not at risk, officials said a catastrophic amount of water was in danger of bursting through the wall of the auxiliary spillway alongside the 770-foot-tall dam. Pressure from the water cascading over the concrete lip of the spillway had caused rapid erosion below it, threatening to burrow a hole beneath and through the auxiliary structure.

 Should such a rupture occur, water would inundate the Feather River and surge toward cities on the eastern side of the Sacramento Valley.

 The good news late Sunday was that water levels in the reservoir were low enough that water was no longer tumbling over the auxiliary spillway. This means the eroded crevices aren’t getting any worse.

 

 

 オロビルダムはカリフォルニア州中部以北に水資源を供給する役割を持った巨大ダムです。灌漑用途で利用されるため、『舗装済みの放水路』が存在するのですが、放水路の地下部分が削られて損傷していることが判明しました。

 そのため、『舗装済みの放水路』を稼働させることができず、貯水量が 100% を超えたことにより、最悪の場合は決壊する可能性が現実に生じたのです。

 現状では『舗装済みの放水路』と並行する『緊急放水路』から水が溢れ出ている状態です。この『緊急放水路』は未舗装であり、水の力で削り取られることでダムの水位を下回るリスクがあるのですが、現状では何とか保たれていると地元メディアは報じています。

 

 「水力発電はエコ」という考えを持っている人々はオロビルダムで起きていることがリスクであることを自覚しなければなりません。

 なぜなら、オロビルダムはアメリカ最大の地下発電所という顔も持ち合わせているからです。水力発電は水の力でタービンを回すため、発電時に環境問題を引き起こす可能性は極めて低い手法です。

 しかし、水を貯めておくダムが決壊するリスクがあり、その危険性が現実味を帯びると流域地域全体が避難を余儀なくされるという問題点もあるのです。

 そのため、トランプ大統領が選挙戦で訴えた「古くなったインフラ設備に再投資する」という考えが不可欠になるのです。これはアメリカだけでなく、日本も同じ状況にあると言えるでしょう。

 

 オロビルダムの件は “特効薬” となる対処策は存在しないと思われるため、決壊するかどうかは運次第だと考えられます。

 もし、ダム崩壊を避けられたなら、主に使用する『舗装済みの放水路』の点検・補修作業中に問題なく放水し続けることができる『補助放水路』の整備を進めるプロジェクトが一気に進める必要があります。

 ただ、トランプ大統領が選挙戦で掲げた政策に一致するものであり、反トランプ派が多いカリフォルニア州が(資金面などの調達を含めて)どう判断するかに注目と言えるでしょう。

 日本でも高度経済成長期に建設されたインフラ設備が徐々に寿命を迎えることになります。メンテナンスを繰り返し延命させることにも限界があるため、他山の石とするべきなのではないでしょうか。