カリフォルニア州での大規模な山火事に対し、トランプ大統領が州政府の対応をツイッター上で批判

 アメリカ西海岸に位置するカリフォルニア州で大規模な山火事が複数の場所で発生し、大きな被害が出ていると NHK が報じています。

 この自然災害への州政府を対応をトランプ大統領が自身のツイッター上で批判していますが、これは妥当なものと言えるでしょう。なぜなら、カリフォルニア州政府はインフラを始めとする保守・管理への予算配分を軽視していることが浮き彫りとなっているからです。

 

 アメリカ・カリフォルニア州の複数の場所で発生した大規模な山火事で、州の北部では、これまでに9人が死亡しました。一方、南部でも、ロサンゼルス近郊で発生した山火事で20万人以上に避難命令が出されています。

 (中略)

 アメリカ・カリフォルニア州の複数の場所で大規模な山火事が発生したことについて、トランプ大統領は10日、ツイッターに「カリフォルニアで、このような死を招くような犠牲の大きい山火事が起きるのは森林の管理が不十分だからだ」と書き込みました。

 そのうえで「毎年、多額の金が投入されているが多くの命が失われている。改善されないならばもう連邦政府からの金はなしだ!」として、森林管理の在り方を改善するようカリフォルニア州当局などに強く求めました。

 

トランプ大統領の批判は至極当然のもの

 NHK が報じているように、トランプ大統領は自身のツイッター上で「連邦予算の拠出削減」を明記し、カリフォルニア州政府の山火事への対応を批判しています。

画像:トランプ大統領のツイート

 森林管理をするには予算が必要ですので、「(連邦政府からの)予算削減をチラつかせて恫喝するトランプ大統領の姿勢」こそ、批判されるべきと考える人もいることでしょう。

 ただ、そのためには「カリフォルニア州政府が山火事の発生を防止するための対策を講じていること」が前提です。しかし、実際にはそうした環境管理に対する予算は軽視されていたのですから、トランプ大統領の批判の方が正当性があると言わざるを得ないのです。

 

WSJ が「カリフォルニア州の問題」を2018年8月の時点で報じている

 カリフォルニア州はリベラルの牙城であり、民主党が強固な地盤となっています。ただ、リベラル派が圧倒的な存在感を発揮する地域の州政府が進める政策に不都合な点があるウォール・ストリート・ジャーナルが報じているのです。

  • 「サケやマスの保護」を理由に揚水制限
  • 干ばつで約1億3000万本の木々が死んだ
    → 死んだ枯れ木は山火事の燃料となる
  • 山火事の拡大を防ぐには野焼きが有効だが、州の CO2 排出規制で事実上不可能
  • 「枯れ木の伐採」に CO2 排出権税収から3000万ユーロを計上
  • 電気自動車には CO2 排出権税収から3億3500万ユーロが計上

 揚水制限が厳しい現行基準よりも緩和されていれば、ダムに貯水することが可能になり、干ばつの影響が出る範囲を制限できたことでしょう。

 また、干ばつで枯れた木々を速やかに伐採するなど、山火事の延焼を防ぐ手段を講じて予算を計上することが重要です。しかし、それらの責務を当事者であるカリフォルニア州政府は怠っていると WSJ が指摘しているのです。

 さすがに、この状況で「トランプ大統領の姿勢はけしからん」と批判することはできないでしょう。

 

ダム管理などインフラ面や環境維持用の予算拠出に消極的なカリフォルニア州政府

 カリフォルニア州政府ですが、昨年2月には「オロビルダムに決壊のリスクがある」との理由で流域の住民に避難勧告が出されたことがあります。

 「インフラへの設備投資」がトランプ大統領の政策であるため、対決姿勢を示すという点で「反対」を表明する気持ちは理解できなくもありませんが、『必要な予算拠出を渋ったことで生じた弊害』に対するカリフォルニア州政府の認識が甘すぎると言わざるを得ません。

 『環境』を重視する姿勢を打ち出しておきながら、山火事などの自然災害への対応が疎かになったことで大きな被害が出ているようでは本末転倒です。

 今回の件では明らかにカリフォルニア州政府の非が大きく、弁解の余地は難しいものがあります。水不足については「原発+淡水化工場」が “最も現実的な解決策” なのですが、環境保護団体の反発などで頓挫し、問題が解決に向かうことはないでしょう。

 

 リベラル派が「理想論を述べるだけの存在」ではなく、「現実問題を解決する実務能力を有した存在」であるかが試されていると言えるのではないでしょうか。