「徒党を組んでネガキャンをするジャーナリストやメディア」が『敵』と名指しされるのは当然である

 NHK によりますと、メディアを真正面から「国民の敵」などと批判し続けるトランプ大統領に対し、アメリカの300を超える新聞社が「トランプ大統領に抗議する社説」を一斉に掲載したとのことです。

 フェイク・ニュースや偏向記事を流すメディアは「敵」と名指しで批判されて当然でしょう。

 これまでは『言論の場』を新聞社などが独占していましたが、トランプ大統領はツイッターという新たなツールで既存メディアを直線的に攻撃しているだけです。「どちらの言い分が正しいかは個人が判断すること」であり、マスコミの “神通力” が低下している現状は受け入れる必要があるはずです。

 

 アメリカのトランプ大統領は、自分に批判的なメディアについて「フェイク・ニュース」=うそのニュースや、「国民の敵」と呼んで、公の場での演説や自身のツイッターなどで繰り返し非難しています。

 こうした中、全米各地で300を超える新聞社は、トランプ大統領に抗議する社説を16日付けの紙面やウェブサイトに一斉に掲載しました。

 このうち、社説掲載の運動を呼びかけたボストングローブ紙は「ジャーナリストは敵ではない」と題した社説で「メディアを敵だと名指しすることは、2世紀にわたってアメリカが築いてきた市民社会を破壊する行為だ」と指摘しています。

 

フェイク・ニュースや偏向記事を垂れ流すことこそ、“市民社会” を破壊する行為

 まず、「メディアが市民社会を築いて来た」という認識は「メディアは無謬(=理論や判断に間違いがない)」との考えに基づくものでしょう。

 これはメディアが『言論の場』における管理者権限を有していたため、異論・反論を封殺することを容易にできました。つまり、これまでは “メディアにとって都合の良い市民社会” が形成されていたのです。

 そのため、メディアは世論誘導という形で社会に影響を与え続け、外部からの批判を受け付けない権力者として君臨することが可能でした。ところが、ツイッターという新しいツールを駆使するトランプ大統領に権力の根幹から揺さぶられているのです。

 ネットツールが一般化したことで、メディアが偏向している実態が世間に知れ渡ることになりました。また、フェイク・ニュースを流した場合は当事者から「事実と異なる」との抗議が出ていることも、ネット経由で知ることが可能になりました。

 「正義はメディア側にあり」との考えは誤りと自覚できない限り、トランプ大統領の対決姿勢を批判したところでメディアに対する信頼が簡単に回復することはないでしょう。

 

「徒党を組み、ネガキャンを展開する時点で “偏向” している」との自覚がメディアには欠落している

 メディアがトランプ大統領の就任前からネガティブ・キャンペーンを展開していたのですから、全米で 300 を超える新聞社が社説で批判してもダメージは少ないでしょう。

 国内日刊紙の発行部数上位100紙中、クリントン氏支持を表明したのは55紙で、発行部数の合計は1282万部に上る。

 (中略)

 一方、トランプ氏支持はネバダ州の地方紙1紙だけ。

 2016年の10月に報じられた記事ですが、主要紙のほとんどはヒラリー・クリントン候補(当時)を支持していたのです。その際も徒党を組んでいたのですから、「編集方針が現在も維持されている」と考えれば、想定内と言えるでしょう。

 トランプ大統領の政治姿勢に反対であるなら、「データなどを根拠で示した上で批判する記事」を記載すれば良いだけです。地域ごとに経済事情などは異なる訳ですから、徒党を組んでトランプ大統領を批判する意味はありません

 「他社と足並みを揃えてネガティブ・キャンペーンを展開する」という時点で “偏向” しているのです。偏向したメディアが報じる記事を「フェイク・ニュース」を批判することは許容範囲であり、自ら姿勢を省みる必要があるのはメディア側にも言えることなのです。

 

ネットの一般化で「双方向」が『報道の前提条件』に変化した

 インターネットが一般社会に広く普及したため、ネット上で指摘される意見を無視することは難しくなりました。「既存メディアも『言論の場』の1ユーザーに過ぎない」と特権的な地位が剥奪されたのです。

 この現実を受け入れられていないから、メディアの姿勢への批判に対して「『言論の自由』に対する攻撃だ」などと主張するのです。

 『言論の自由』は「マスコミが “好き勝手な主張” を展開しても批判を受けないこと」ではありません。

 偏向記事やフェイク・ニュースを流すメディアが当事者から批判されるのは当たり前です。同業者からも「編集方法や裏付け確認に対する苦言」が呈されなければなりませんし、擁護することは逆効果であることを自覚しなければならないことなのです。

 

 偏向記事や印象操作が有効なのは『言論の場』を独占されている時にのみ有用です。「中国のように政府が管理している場合」や「既存メディアが独占的な地位を得ている場合」に効果が発揮されることは示されています。

 権力の源泉である「独占的な立場」が剥奪された “既得権益層” による反発が起きているに過ぎないとも言えるでしょう。少なくとも、「報道」を名乗りながら「自社や記者の個人的な見解」を混ぜた情報を発信するメディアが信頼を失うのは当然と言えるのではないでしょうか。