一次情報に誰でもアクセスできるなら、偏向メディアが締め出されることに大賛成だ

 トランプ政権がホワイトハウスでの記者会見から政権に批判的なメディアを締め出す異例の事態が起きていると読売新聞が伝えています。

 締め出される側のメディアは批判していますが、世間ではそれほど賛同されていません。情報の受け手側の視点で言えば、誰でも一次情報にアクセスできるなら、既存メディアに依存する必要はないからです。

 

 スパイサー氏はこの日、全メディアの記者が出席できる定例記者会見を開かず、ホワイトハウス記者会の中の代表取材の当番だった十数社に加え、選別した一部の社と懇談した。政権に好意的とされるFOXニュースやブライトバート・ニュースなど保守系メディアはこれに招かれた。CNNとニューヨーク・タイムズは代表取材の当番でなかったが、代表的なメディアが懇談から排除されるのは異例だ。

 

 “代表取材” という形で一部のメディアに「取材の独占権」が与えられている方が問題です。

 国民を代表して取材をしているのであれば、その内容に手を加えず、取材映像などを公開することが絶対条件です。メディアが自分達にとって都合の良い部分だけを切り取り、批判または称賛していたことがネットで明るみに出たからこそ、深刻なメディア不信が起きているのです。

 政府の記者会見を既存メディアだけに独占させる必要はありません。最も良いカメラ位置は会見を開く側が確保し、記録した映像をネットに公開すれば、フェアな会見が行われると言えるでしょう。

 

 メディアにとってショッキングなデータ(根拠)もあります。

 ボストンにあるエマーソン・カレッジのスペンサー・キンベル教授が2月7日に発表された世論調査(PDF)で「メディアへの信用度はトランプ政権の支持率より低い」と出ているからです。

  • Q. トランプ政権の働きを評価しますか
    • 評価する:48%
      • 共和党支持者:89%
      • 民主党支持者:17%
    • 評価しない:47%
      • 共和党支持者:5%
      • 民主党支持者:81%
  • Q. トランプ大統領は信用できますか
    • 信用できる:49%
      • 共和党支持者:89%
    • 信用できない:48%
      • 民主党支持者:77%
  • Q. メディアは信用できますか
    • 信用できる:39%
      • 民主党支持者:69%
    • 信用できない:53%
      • 共和党支持者:91%

 「アメリカで分断が起きている」と叫び続けている張本人であるメディアがアンケートに答えた過半数から「信用できない」と言われているのです。

 トランプ政権への評価はどのメディア媒体が調査しても半々になっています。それを考慮すると、過半数がメディアに対する不信感を持っていることはメディア自体が信頼・信用されていないと判断して問題が生じることはないでしょう。

 

 “角度を付けること” がメディアで常態化しており、マスコミ内部ではそれを「おかしい」と感じていないのでしょう。

 かつては偏向報道をしたところで批判すらされなかったのですが、ネットが発達した現代社会では様々な所から反発を招く要因になります。一部メディアを締め出すことはオバマ政権でも行われていたことであり、今回の対応だけを批判することは明らかなダブルスタンダードです。

 メディア間の誤報を「お互い様」とかばい合い、取材方法や裏取りなどでライバル社を批判すらできないマスコミが “政府との対決姿勢” をどれだけ叫ぼうが惨めであることに変わりないことです。

 メディアが本来やるべきである「ジャーナリズムから外れた報道を行うマスコミへの批判」を怠っているから、ネット経由で炎上する頻度が増えているのです。

 

 要するに、各メディアが独自の基準を持ち、それを政権・他のメディア・自社に対して適応する記事を発信していればメディア不信とは無関係でいられるのです。

 しかし、“他人に厳しく自分に甘すぎる” という身勝手なスタンスが知れ渡っているから嘲笑の対象にまで落ちぶれているのです。身内を守る保身に走るほど、信用度は低下し、衰退の道を辿ることになるでしょう。

 「メディアは偏りすぎている」という前提が世間の共通認識となれば、「会見を開く側である政権がネット上などに編集されていない映像をアップすべきだ」との声が大きくなり、予算を付けるべきとの要望も強くなることが予想されます。

 その動きが現実化した時、既存メディアが “突然死” することでしょう。トランプ政権で現実に起きる可能性は十分に存在します。マスコミが信頼されなくなったのは自業自得と言えるのではないでしょうか。