「慰安婦合意は撤回だ」と息巻く韓国、合意事項に反する形でトランプ大統領から「THAAD の費用10億ドルを払え」と迫られる
次期韓国大統領の有力候補は「前政権による合意」を理由に日本との慰安婦合意を撤回すると宣言しています。
ところが、それと同じロジックをアメリカ・トランプ大統領が利用し、「THAAD の費用10億ドルは韓国が負担せよ」と要求したことに対し、中央日報が社説で理解できないと批判しているのです。これは明らかにブーメランになっていると言えるでしょう。
トランプ米大統領が慶尚北道星州(ソンジュ)に配備された高高度防衛ミサイル(THAAD)の費用10億ドル(約1100億円)を韓国が支払うようにすると述べ、波紋を呼んでいる。
(中略)
在韓米軍に配備されたTHAADは米軍の資産だ。その運営費は米国が負担することになっている。韓米は昨年、THAAD配備に関連し、THAAD展開および運営費は米国が負担し、韓国は場所を提供することで合意している。このため韓国政府は星州ロッテゴルフ場の一部(30万平方メートル、公示価格91億ウォン=約9億円)を20日に米国に供与した。ところが突然、国家間の合意を無視して韓国に追加負担を要求した。
韓国が「国家間の同意事項を政権交代を理由に覆して良い」と考えるのであれば、その方法は相手国が使っても問題ではありません。自分がすることは許されるが、相手がすることは許されないという考えは明らかなダブルスタンダードになるからです。
米韓での THAAD に関する合意事項は次のようなものでした。
- 前政権(アメリカ:オバマ政権、韓国:パク政権)
- THAAD の運営費はアメリカが負担
- 設置場所は韓国が提供
- 現政権(アメリカ:トランプ政権、韓国:ー)
- 韓国はロッテが所有するゴルフ場を提供
- アメリカが THAAD の費用10億ドルを要求 New
政権交代を理由に国家間の合意事項を一方的に無視したのはアメリカ・トランプ政権です。韓国・中央日報が「理解できない」と社説で批判することは当然と言えるでしょう。
しかし、トランプ政権が行ったことは韓国が慰安婦合意で日本にやろうとしていることと同じなのです。もし、日本との合意事項を一方的に撤回するのであれば、他国から一方的に合意事項を撤回されたとしても、受け入れなければならないことは言うまでもありません。
韓国がアメリカとのスワップ協定を希望するのであれば、THAAD の費用10億ドルは素直に支払っておくべきなのは明らかです。しかし、それでもスワップ協定は難しいでしょう。
なぜなら、韓国は為替操作国としてマークされている存在です。また、米韓 FTA でアメリカ側のメリットがほとんどなかったにもかかわらず、韓国側だけが恩恵を受けることになるスワップ協定の締結に難色が示されることは当然のことなのです。
少なくとも、合意事項を平気で撤回するトランプ政権とスワップ協定を締結したところで、「有事の際にドルを提供してもらえる」と考える方がリスクの高いことだと言えるでしょう。
韓国の新大統領は「慰安婦合意は撤回」というスタンスを日本政府に示すことが予想されます。その際は「アメリカに THAAD の費用10億ドルを支払うことが先決だ」と伝え、まともに取り合わないことが重要だと言えるでしょう。
その上で、「我が国は国家間の合意事項を遵守する国である」とメッセージを韓国に伝達し、態度を一貫させることを要求する必要があると言えるのではないでしょうか。