NHK 世論調査で「憲法改正は必要」との回答が多数派になったことが示される
NHK が5月3日の憲法記念日を迎えるにあたり、憲法改正の必要性についての世論調査を行ったところ、「改正する必要があると思う」と答えた人の割合が 43% で多数派になったと報じています。
この数字は護憲派にとってはショックと言えるでしょう。なぜなら、「憲法を守れ」とのお決まりのフレーズを唱えるだけでは効果が薄れていると言えるからです。
改憲賛否と割合と判断した理由は以下のとおりです。
- 憲法改正は必要:43%
- 安全保障環境の変化に対応するため:54%
- プライバシー権、環境権などを盛り込むため:16%
- 自衛権や自衛隊の存在を明記するため:15%
- アメリカに押し付けらえた憲法だから:12%
- 憲法改正は必要ない:34%
- 憲法9条を守りたいから:51%
- 国民の中で定着しているから:23%
- 基本的人権が守られているから:21%
- アジア各国との関係を損なうから:3%
- どちらとも言えない:17%
“古くからの意見” が支持されたのではないことが注目点です。マスコミが右派として攻撃する格好のネタである「アメリカに押し付けられた憲法」という主張は改憲に前向きな人の中でも少数派です。
むしろ、「日本を取り巻く周辺環境の変化に現行憲法では対応できる内容に不安を感じる」点と「プライバシー権や環境権といった憲法創設時には想定されていなかったことへの対応の必要性」の2点が改憲派の原動力になっています。
改憲派の支持理由が変化していることと比較すると、護憲派はカルト色が濃くなっています。『憲法9条』を過大評価していることが最大の問題と言えるでしょう。
「9条は平和憲法の骨格」と主張したところで、国民の生命・財産・安全を守ることに直結しません。憲法は “国民の生命・財産・安全を守るのためのツールの1つ” であり、守らなければならない対象を満足に守れない不備があるから修正する必要があります。
「現行憲法を守ると、国民の生命・財産・安全は守られる」のであれば、改憲派が多数派となることはないでしょう。しかし、現状は次の二者択一を迫られているのです。
- 現行憲法を保持すると、国民の生命・財産・安全が損なわれる
- 現行憲法は変更されるが、国民の生命・財産・安全は守られる
現行憲法を維持することに固執した結果、国民の生命・財産・安全に支障が生じていると感じる人が世間一般に増えることになりました。北朝鮮の拉致問題、韓国による竹島の不法占拠、中国の海洋進出などを見れば、現行憲法では対応できていないと考える人が多くなって当然ではないでしょうか。
憲法で考えると、堅苦しいと感じる人もいると思われますので、会社や学校に当てはめて考えるとイメージしやすいと思われます。
「現行の社則を保持すると、社員の生命・財産・安全が損なわれる」、「現行の校則を保持すると、学生の生命・財産・安全が損なわれる」
欠陥が存在するとの懸念が社則や校則にあるのであれば、改正をしようと声があがって当然です。それを「社風・校風を決める大事な条文に手を加えることは許さない」との強硬な意見を前面に出し、改正派の動きを抑え付けようとしているのです。
これでは “護憲派” の旗色が悪化するのは当たり前と言えるでしょう。
「国民の生命・財産・安全を守る」という観点で考えているから、プライバシー権や環境権という項目を憲法に加えるべきとの意見も出てくるのです。憲法改正を認めないということは「それらの権利は認めない」と主張していることと同じなのです。
これでは護憲派に支持は集まらず、「どのような内容に改憲するか」ということに焦点が移ることが当然でしょう。“護憲派” は活動内容を変更すべき潮目にいると言えるのではないでしょうか。