民進党と希望の党が統一会派で大筋合意、『大・民主党構想』に向け前進する

 『民進党』と『希望の党』が統一会派を結成することで大筋合意に達したと NHK が報じています。

 この動きは “野党を応援するマスコミ” にとっては気が気でないでないでしょう。「野党第1党」の座を『民進+希望』に取られると「野党第1党も憲法改正の発議に賛成している」と主張される可能性があり、護憲派の反対する根拠が崩れ去るリスクがあるからです。

 

 民進党と希望の党の幹事長が14日、東京都内で会談し、国会での統一会派の結成に向けて、安全保障関連法や憲法改正への対応など両党が共有できる基本政策などをめぐって大筋で合意し、15日以降、それぞれの党内手続きに入る方針を確認しました。

 民進党は、立憲民主党と希望の党との3党による国会での統一会派の結成を目指していますが、立憲民主党が「希望の党とは、理念や政策が異なり、検討しない」としていることから、希望の党との協議を先行させています。

 

 この動きは「野党再編」と言うより、「民進党内での主導権争い」と言うべきでしょう。なぜなら、民進党から分裂した状態で先の衆院選を戦った議員たちが再び集合しようとしているに過ぎないからです。

 

1:『立憲民主党』や護憲派にとっては気が気でない『希望』と『民進』の合流

 『希望の党』と『民進党』が統一会派を結成することで大筋合意したことは立憲民主党や護憲派、それらを支援するマスコミの “頭痛のタネ” になる可能性があります。

 なぜなら、新しく結成される会派に「野党第1党」の座を明け渡すことになるからです。

会派 衆院 参院 合計
立憲民主党 54 1 55
希望の党 51 3 54
民進党系 14
(無所属の会)
47
(民進党)
61
希望+民進 65 50 115

 「野党第1党」であれば、マスコミへの露出は段違いです。そのため、「野党第2党」に転落することになる『立憲民主党』にとっては逆風となりますし、“憲法改正に前向きな統一会派” が結成となれば、護憲派にとっても逆風となるでしょう。

 

2:「大・民主党構想」に向けて動き出す可能性も残されている

 ただ、“憲法改正に前向きな統一会派” が結成されるとは言い切れません。その理由は「希望の党が分党を検討している」と朝日新聞が報じているからです。

 「憲法改正に前向きな議員」と「反対の民進党系議員」で分党する動きが出ていると伝えられているのです。これは民進党系の議員が集結する動きを見せていることと同じです。

  1. 『希望』と『民進』が統一会派を結成
  2. 安保・憲法改正に反対する『希望』の議員は分党で決別
  3. 『希望+民進』は旧・民進党の政策を踏襲
  4. 『希望+民進』と『立憲民主』で統一会派結成を模索
    → 民進党議員が結集

 上記の流れが民進党に所属歴のある議員が理想とする「大・民主党構想」だと考えられます。野党第1党として自分たちが主導権を手にすることができるからです。

 しかし、実際には「分裂前の民進党に戻る」に過ぎません。果たして、有権者が簡単に騙されるかが最大の注目点と言えるでしょう。

 

 マスコミは『立憲民主党』を猛プッシュして来ましたが、そのために利用してきたロジックが根底から覆される可能性があるのです。民進党系の議員による野党内の主導権争いがどういった形で決着するのかを見守る必要があると言えるのではないでしょうか。