残り10日となった中韓通貨スワップ協定、韓国が厳しい立場に

 日本では衆院選挙の行方に注目が集まっていますが、韓国では「中国との通貨スワップ協定の満期」が近づいています。

 10月10日に満期を迎える中韓通貨スワップ協定ですが、「延長は不透明である」と韓国・中央日報が報じています。9月が終わる時点で実務者協議があったという報道もなく、打ち切りの可能性も現実味を帯びたと言えるでしょう。

 

 韓中通貨スワップが10月10日で満期終了を迎える中で、その延長について関心が集まっている。

 現在、韓国と中国が結んでいる通貨スワップの規模は560億ドル(約約6兆1160億円)規模で、韓国が締結した通貨スワップ全体(1220億ドル)の45%以上を占めている。しかし、最近中国がTHAAD(高高度ミサイル防衛)報復措置を強めながら韓中通貨スワップの延長が不透明になったとする見方が優勢になってきている。

 

 中央日報の記事は9月7日に掲載されたものですが、この内容からの進展は皆無です。これは「スワップの打ち切り」が現実味を帯びたと言えるでしょう。

 パク・クネ前大統領の “コウモリ外交” が仇となったことは確実です。中国以外に手を差し伸べてくれる国があるとは考えづらく、中国に命綱を握られ、依存度が高くなることが濃厚になっています。

 

1:中国が10月10日までに協定を急いで延長する理由はない

 中国には現在の『中韓スワップ協定』が満了する10月10日までに急いで交渉を取りまとめる必要性はありません。なぜなら、韓国が頼れる相手は中国しか現状では存在しないからです。

 以前は『日本とのスワップ協定』も存在しました。しかし、反日政策を進めたことで関係が悪化。“日本が韓国を支える形のスワップ協定” にメリットがない日本側は延長の意志を示さず、日本に頭を下げたくない韓国も延長を申し込まなかった結果、協定は終了となったのです。

 現在の韓国・ムン政権は北朝鮮問題で圧力強化を訴える日米両政府の足並みを乱す動きをしています。この状況では『米韓スワップ協定』や『日韓スワップ協定』が締結される可能性はゼロと言えるでしょう。

 したがって、中国してスワップを締結してくれる相手はおらず、中国側に足元を見られる可能性が極めて高くなっている状況なのです。

 

2:日本に泣きついても、衆院選で誰も相手にしてくれない

 従来であれば、「韓国のピンチは日本が助けよう」と訴えるマスコミを中心に “助け舟” が出されたことでしょう。ところが、衆議院議員選挙が10月10日に告示されるため、マスコミは忙しいのです。

 自民党に陳情しても、「選挙が終わるまで待て」と言われるでしょう。韓国に理解を示す民進党は自らの保身のため、『希望の党』から出馬することに必死になっており、韓国のために働くことはないでしょう。

 衆院選で韓国に理解を示す “親韓派の政党” が勝利すれば、『日韓通貨スワップ協定』が復活する可能性はあります。しかし、有権者の韓国に対する感情は慰安婦像の設置で悪化していますので、自らの政治生命と引き換えにする政治家は見当たらない状況なのです。

 

3:韓国は EU との通貨スワップ協定の締結に動くべきだ

 日米中の3カ国は『韓国との通貨スワップ協定』の締結に乗り気とは言えません。コウモリ外交をしてきた当然の結果ですが、緊急時に外貨がないことは大きなリスクとなります。

 韓国としては “まだ裏切ったことがなく、信用度がそれほど低下していない” EU との通貨スワップ協定の締結に全力を尽くすべきでしょう。国際基軸通貨はドルですが、ユーロにはドルと同等の価値があるからです。

 EU を裏切ったことはない訳ですから、『EU と韓国の通貨スワップ協定』が合意に達する可能性は『日韓』、『米韓』、『中韓』のいずれよりも高く、韓国が不利となる条件を飲まされることもないと思われます。

 当面は『中韓スワップ協定』で乗り切り、その間に『欧韓スワップ協定』の締結に奔走することが現実的でしょう。ドイツには韓国の姿勢に理解を示してくれるでしょうから、EU を頼りにすべきです。

 「韓国のムン・ジェイン政権が経済的な難局をどのように乗り切るか」を観察し、その動きを踏まえて日本政府は外交政策を微調整する必要があると言えるのではないでしょうか。