シリア情勢が急変、日本のマスコミは驚きを持って報じる
2018年4月にシリア・アサド政権がダマスカス近郊の東グータ地区で化学兵器を使った疑いで、米英仏などが関連施設への軍事攻撃に踏み切りました。
日本のメディアは「一気に緊迫」と報じていますが、国際ニュースをきちんと報じていれば驚きは少ないでしょう。なぜなら、トランプ大統領(アメリカ)は習近平総書記(中国)が訪米中の2017年4月にも同様の行為を行っていたからです。
シリア情勢の時系列
シリアの情勢が悪化した2011年以降の時系列は次のとおりです。
2011年 |
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2013年 |
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2017年 |
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2018年 |
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アサド政権は以前から化学兵器を利用した疑惑が出ていたのです。ただ、オバマ政権は “戦略的忍耐” をここでも掲げ、アサド政権の行為を黙認したことが発端となりました。
その後、シリア騒乱を混沌とさせる外交政策を当時のオバマ政権を採り続けたことで取り返しがつなかくなったのです。
米英仏などが攻撃を加えた場所
アメリカ・イギリス・フランスなどが化学兵器の関連施設として攻撃を行った地域を BBC は次のように伝えています。
シリアの首都ダマスカス近郊と中部のホムスです。どちらも軍の備蓄設備があると見られており、それらの施設で化学兵器が保管されていたと思われます。
アサド政権が化学兵器を使ったと推測されている “ダマスカス近郊の東グータ地区” はシリア反政府勢力の拠点です。残された唯一の拠点となっており、鎮圧されるのは時間の問題と言えるでしょう。
なぜ、米英仏などは「化学兵器の使用」に軍事攻撃で報復するのか
化学兵器の利用に米・英・仏などが軍事攻撃で報復する理由は「大量破壊兵器の利用されるハードルが下がるのを防ぐため」です。
特定の地域で大量破壊兵器が頻繁に使われることになれば、他の地域でも使用のハードルが下がる要因を招く “呼び水” をなる可能性があります。要するに見て見ぬ振りをすると、その損害が自分たちの国に降りかかるリスクが高まるからです。
そうした考えの危機管理に基づき、攻撃に踏み切ったと見ておく必要があるでしょう。
「疑惑で軍事攻撃に踏み切るのは如何なものか」と批判する声が一部の野党から出ていますが、これはダブルスタンダードです。
なぜなら、自分たちは森友・加計学園の “疑惑” に対し、「疑惑をかけられた方が潔白だと証明しろ」と実力行使に出ているからです。この矛盾を解消しなければ、二枚舌との批判を招くことになるでしょう。
日本は市民に対する化学兵器を使ったテロを起こされた歴史を持っている訳ですから、大量破壊兵器を使うような外国政権に対して厳しい批判をすることは当然と言えるのではないでしょうか。