『徴用工問題』こと『朝鮮半島出身労働者問題』で沈黙中の韓国政府、「判決への配慮」を日本に求めるも拒絶される

 10月30日に韓国・大法院(= 日本の最高裁に該当)が『徴用工裁判』で「原告の訴えを認める」との判決を下しました。

 日本政府は判決に対して即座に反応していますが、もう一方の韓国政府は “板挟み” になっているのか沈黙を続けている状況です。日本に「判決に対する配慮」を要求する声明を出していますが、全く相手にされていません。

 『徴用工問題』は韓国政府の責任で解決しなければならない問題であり、日本政府が韓国のために汗をかく必要はないと言えるでしょう。

 

徴用工判決後の日韓両国政府による対応

 『徴用工裁判』の判決が出た10月30日以降の日韓両国政府による対応は以下のとおりです。

  • 10月30日(火)
    • 韓国・大法院が「賠償を認める判決」を下す
    • 日:河野外相が「断じて受け入れられない」との談話を発表
    • 日:安倍首相は「あり得ない判断だ」と発言
  • 10月31日(水)
    • 韓:外交部の報道官が「否定的な影響が出るべきではない。両国で知恵を出すべき」と発言
    • 日:自民党の部会ででも、韓国への批判が出る
  • 11月1日(木)
    • 韓:駐日大使が「破局はない」との認識を示す
    • 日:河野外相が「影響が出ないわけはない」と言及。「100%韓国の責任」との認識を示す
  • 11月3日(土)
    • 日:河野外相が「補償は韓国政府がすべてすべき」と街頭で演説
  • 11月6日(火)
    • 韓:外交部の報道官が「日本の過剰な反応を深く遺憾に思う」との見解をメディアに送付
  • 11月7日(水)
    • 韓:イ・ナギョン首相の「日本の過剰な発言を深く憂慮」とのコメントを発表
    • 日:菅官房長官が「判決確定で韓国は国際法違反」と記者会見で言及
  • 11月8日(木)
    • 日:菅官房長官が「韓国政府に適切な措置を求めている」と記者会見で述べる
  • 11月9日(金)
    • 日:河野外相が「韓国側のコメントへのコメントはない」と記者会見で語る

 特筆事項としては「韓国政府は判決後に記者会見を1度も開いていない」ことです。一方的な主張をすることだけになっていることに留意する必要があると言えるでしょう。

 

『宝箱』だとムン・ジェイン政権が煽った手前、『パンドラの箱』だったと認めることはできない

 ムン・ジェイン政権が実質的に沈黙を貫いているのは「動きが取れないから」でしょう。ただ、その原因を作ったのは自分たち韓国政府であり、自業自得と言わざるを得ません。

 パク・クネ前大統領が『徴用工裁判』に潜む “爆弾” に気づいていたかは不明ですが、棚上げに終始しました。これは「原告勝訴なら日韓関係が破綻、原告敗訴から政権が国民からの突き上げを受ける」という代物であり、無視しておくことが政治的な正解でした。

 ところが、ムン・ジェイン政権は「前政権を清算する」と掲げ、大法院のトップに地裁の裁判官を “大抜擢” するなどの行動を起こしました。

 「原告の訴えを棄却する」との判断が大法院から差し戻された末の裁判なのです。「原告の訴えを認める」との判断が出ることは想定できることですし、これを『宝箱』とムン・ジェイン政権は見ていたのでしょう。

 しかし、日本側が韓国政府の思惑以上に猛反発。頭を下げることなどできない韓国政府は袋小路にはまってしまったのです。

 

『徴用工問題』と表するのは不適切、『朝鮮半島出身労働者問題』と呼ぶべきだ

 マスコミは『徴用工問題』と表現していますが、これは不正確です。なぜなら、今回の裁判における判決(PDF・韓国語)でも「原告は募集に応じた」と明記されているからです。

 そのため、『朝鮮半島出身労働者による慰謝料請求問題』と現すことが適切と言えるでしょう。

 短い文字数で表現できることはマスコミは重宝する傾向にありますが、正確に示すことができていない略語表記はマイナスの影響をもたらします。「 “いわゆるという枕詞” を付ければ問題ない」というマスコミの甘い認識が問題を複雑化する原因の1つのなのです。

 「韓国政府が主張する表現がメディア的に使いやすい」との利用で継続するなら、「該当する報道機関は簡単にプロパガンダになびく恐れがある」と読者は注意する必要があると言えるでしょう。

 

韓国政府に「大法院の判決にどう対応するのかを示せ」と迫る必要がある

 日本政府は韓国政府に「大法院の判決にどう対応するのかを示せ」と迫るでしょう。そうすることで、発言した政治家がポイントを稼ぐことができるからです。

 一方の韓国政府は「判決を尊重するのが民主主義」などと “逃げ” に終始しています。日本側は「判決を撤回させろ」と言っているのではなく、「大法院が出した判決に韓国政府がどう対処するのか」と述べているのです。

 韓国側の対応が確定しなければ、日本政府が対応策を正式に決定することはできません。「うやむやにする」ということも立派な戦術なのですから、両国関係を破綻させる判決を放置しておくことが有害であることは親韓派のメディアも理解していることでしょう。

 そうであるなら、まずは韓国政府に対して「大法院の判決にどう対応するのかをマスコミの前で説明すべき」と要求することがジャーナリズムに基づく行動だと言えるのではないでしょうか。