河野太郎外相は「徴用工判決は100%韓国の責任で」との発言を有言実行すべきだ

 NHK によりますと、河野太郎外務大臣は神奈川県で行った街頭演説で「韓国政府が責任を持って補償を行うべき」と主張したとのことです。

 この主張は従来の日本政府の見解を維持するものであり、真っ当な主張だと言えるでしょう。注目すべきは「この主張内容を有言実行することができるのか」という点です。

 韓国側に配慮したところで何の効果もなかったことは歴史が証明しています。『中国政府による対韓政策』を参考に、日本の国益を守るために必要な政策をどれだけ実行できるかが注目点になるでしょう。

 

 河野外務大臣は3日、神奈川県で行った街頭演説で「1965年の国交正常化でいちばん問題になったのが補償や賠償をどうするかで、日本が経済協力として一括して韓国政府に支払い、国民一人一人の補償は韓国政府が責任を持つと取り決めた」と、これまでの経緯を説明しました。

 そのうえで「判決はこの取り決めに完全に違反するもので日本としては受け入れられない。韓国にすべて必要なお金を出したので、韓国政府が責任を持って補償を行うべきだ」と述べ、個別の補償は韓国政府が責任を持って行うべきだと強調しました。

 親韓国派の識者やメディアが「日本は韓国側の要望に耳を傾けるべき」との主張を展開しています。しかし、これらの主張を聞き入れるべきではありません。

 なぜなら、5年もしない内に “支援” が水の泡と化すからです。この現実を認識することを拒み、韓国を甘やかし続けてきた結果が現代の日韓関係を築くことになった大きな原因の1つなのです。

 

5年も経たずに解散する『財団』に日本側が資金を出す意味はない

 韓国側が要望するのは「日本政府や日系企業が出資する『徴用工財団』を設立すること」でしょう。なぜなら、韓国の国内向けに説明ができるからです。

 しかし、日本側には『徴用工財団』に出資する意味はありません。まず、日韓基本条約で補償・賠償関連の支払いは終了しています。そもそも、支払い義務も道義も日本側にはないのです。

 つまり、個別の韓国人に補償をする責任は韓国政府にあって、日本政府や日系企業にはありません。この前提を無視した判決が韓国で行われたことが問題なのです。

 次に、『財団』が設立されたとしても、有効なのはムン・ジェイン現政権が存続している時だけでしょう。その理由は次期政権が「その条件では納得できない」と合意を “ご破算” にすることが目に見えているからです。

 パク・クネ前政権時に結ばれた「慰安婦合意」は実質的に反故にされ、『慰安婦財団』は解散状態になっています。この現実を見せつけられておきながら、『徴用工財団』の設立に出資することほど馬鹿げた行為はないと言えるはずです。

 

「和解」を選択するなら、韓国側が “徴用被害者” と認定する全員に「和解金」を支払う必要が生じる

 ただ、韓国市場が重要な立ち位置を占めている企業によっては「原告との和解を選択した方が良い」と考える経営者が出てくることでしょう。しかし、その判断は誤りと言わざるを得ません。

  • 和解を考える日系企業経営者の思惑:
    • 和解金を支払った方が経営への影響は少ない
    • 原告1人への和解金が1000万円としても、数億円の予算で済む
    • 韓国市場を捨てるマイナスの方が大きい
  • 現実:
    • 韓国の最高裁は「植民地支配に対する精神的な慰謝料」を認める
    • 原告は職の募集に応じていたが、「強制動員の被害者」と認定
    • 韓国国内の “徴用被害者” は推定 15〜22 万人
    • 全員と和解するには兆単位の予算が必要になる

 韓国の最高裁にあたる大法院は『慰謝料問題』にすり替え、原告側の要求を満たしました。その際、判決の根拠として「日本の植民地支配が違法であるから、慰謝料請求は認められる」としたのです。

 これは「1945年までに雇用していた韓国人1人につき、約1000万円の植民地支配に対する慰謝料を支払え」という判決が確定したことと同じです。現在訴訟を起こしている原告とは別に数十万人・数百万人単位の “原告予備軍” が誕生することになったのですから、和解に応じることで生じるマイナスは無視できるものではないと言えるでしょう。

 

韓国政府やその代弁者の “泣き落とし戦術” は徹底的に無視しなければならない

 河野外相は「100% 韓国の責任」と突き放している一方、韓国政府の代弁者として “泣き落とし” に入る識者やメディアが散見されています。

 ただ、韓国の事情に理解を示し続けてきたことで、日本側にすべての責任が転嫁され、その結果が現在の日韓関係なのです。どれだけ泣きつかれようが、韓国を “一人前” として扱わない限り、真っ当で対等な二国間関係が構築されることはないでしょう。

 『対等な二国間関係』が構築されたところで、困る人はごくわずかです。「道徳的価値観で日本を下に見ていた韓国」と「経済的に未熟な韓国を支援することで自尊心を満たしていた日本の左派メディア」が困るだけでしょう。

 良好な関係を構築できている国との付き合い方は「対等」が基本なのです。

 そのため、「日本政府や日系企業が出資してくれないと財団のメンツが立たない」などという “泣き落とし戦術” には「NO」と明言しなければなりません。日韓基本条約の下で50年以上も利益を得ておきながら、これまでの外交関係を平気でひっくり返したのです。

 「韓国の国内問題なのだから、自分で解決しろ」と迫る河野外相の姿勢は 100% 支持されるべきと言えるでしょう。今後はその発言が有言実行となるかに注目する必要があると言えるのではないでしょうか。