『外国人の扶養家族による医療費増大』や『偽装結婚による在留資格変更』という問題を無視した政府の「外国人材の受け入れ拡大」に反対する

 人手不足を補う目的で産業界からの強い要望を受けた政府が2019年4月から「外国人材の受け入れ拡大」を目指し、出入国管理法の改正案を国会に提出したと NHK が伝えています。

 人材不足を補うために外国人を活用することは良いと言えるでしょう。しかし、必要な制度設計を後回しにしてまで早急に「受け入れ拡大」を決定しなければならない状況ではありません。

 様々な問題点が浮き彫りになっているのですから、それらを解消する法整備を行い、順を追って成立させれば済むことだと言えるはずです。

 

 人手不足を補うため、政府は、来年4月から外国人材の受け入れを拡大することを目指し、2つの新たな在留資格を設ける、出入国管理法の改正案を2日、国会に提出しました。

 受け入れの対象としては、介護業や建設業など14の業種が検討されていますが、実際に受け入れる業種などは、法案に明記されておらず、法案の成立後に省令で定めるとしています。

 来年4月に新制度が導入された場合、関係する省庁は、現時点で14の業種の受け入れ人数を合わせると、最初の1年間は4万人程度になると想定していて、引き続き精査しています。

 『外国人材の受け入れ拡大』は政府案も野党案も “欠陥” を抱えたものです。どちらの法案が立案されることになったとしても、現状では「亡国への1歩」になると言わざるを得ないでしょう。

 それだけあまりに雑な法案が国会で議題に上がろうとしているのです。

 

「出稼ぎに来る」というのは “現実的で崇高な目的” である

 まず、外国人材は日本に出稼ぎにやって来ます。日本では「金儲け」を理由に就業することは好ましく思われないでしょうが、最も現実的な就職理由であると認識しなければなりません。

 つまり、日本の当局に求められているのは「出稼ぎのために来日した外国人労働者をどう適切に管理するための法整備や枠組みを作るか」なのです。

 この時に “優しい態度” で甘やかすと、トラブルの原因になります。「外国人だから、日本の規則を知らなくて当然」などと甘やかすと、来日する外国人は “母国の価値観” を日本に押し付けることが常態化する結果を招いてしまいます。

 日本人が泣き寝入りをすれば、問題は表面化しないでしょう。ただし、それが原因で “分断” が生じます。治外法権を手にして好き勝手な振る舞いができる外国人に反感を持たない方が無理なことなのです。

 その現実を見据えた上で、日本の法律を守らない外国人材は即強制退去にするなどの厳しい対処をすることが大前提だと言えるでしょう。

 

「外国人材は “母国に残した扶養家族” に対する医療保険の権利行使が可能」という問題点

 安倍政権がどれだけの外国人材を日本に受け入れるかは現時点では不明です。ただ、日本で生活するのですから、外国人材は国民健康保険に加入することになります。

 すると、その外国人材が扶養する家族も日本の国民健康保険の対象となるのです。これは厄介な問題になると言えるでしょう。なぜなら、健康保険は日本国外に在住していても、権利を行使することは可能だからです。

  1. 出入国管理法の改正で新たに在留資格を得た『外国人材A』が来日
  2. 『外国人材A』が国民健康保険に加入
  3. 『外国人材A』が両親を扶養家族としていた場合、『外国人材Aの両親』は日本の国民健康保険を利用可能

 これは健康保険の扶養家族に「日本国内に居住していること」という制約が存在しないことが理由です。そのため、“思いもよらぬ国民負担” が生じることが現実的に懸念されています。

 また、タレントのローラさんの実父が逮捕された『海外療養費詐欺』に手を染める輩も出てくることでしょう。こうした諸問題を無視してまで、「外国人材の受け入れ拡大」を猛スピードで実行するメリットは少ないと言えるはずです。

 

『偽装結婚による在留資格変更』は “アリ” なのか

 その上、「在留資格」の不備を突かれるケースも想定できます。具体的には『外国人材』として来日した人物が「結婚」をした場合です。

 『外国人材』であれば、在留期間に上限が設けられています。しかし、その期間内に「結婚」をすれば、在留期間を超えて日本に滞在し続けることに道が開けるのです。

 しかも、日本人夫や日本人妻を持てば、入管に収容されても人権派団体が「在留特別許可」を求めて訴訟支援までしてくれます。これは現時点で実際に起きていることであり、「外国人材の受け入れ拡大」を進めると、そうした案件は飛躍的に増加することになることが予想されます。

 現状ですら、在留資格を持たない外国人が「在留特別許可」を求めた裁判を起こしつつ、日本で生活を続けているのです。この “甘やかし” の対象者が増えることによる国民負担は軽視できるものではないのですから、制度設計そのものが杜撰と言わざるを得ないでしょう。

 

 『外国人材』を来日させてまで雇用するのであれば、雇用者が自費で「彼らが日本社会でトラブルを起こさないためのマナー研修」をしなければなりません。

 その負担を行政に押し付けることは国民に負担を押し付けることであり、論外と言えるでしょう。軽犯罪での強制退去は必須ですし、行政サービスや本人の健康保険料不払いも退去理由にしなければならないことです。

 こうした必要な制度設計すら出来上がっていない中で、「外国人材の受け入れ拡大」を大急ぎでしようとする安倍政権の姿勢は容認することができないと言わざるを得ないのではないでしょうか。