出入国管理法の改正による『外国人材受け入れ拡大』が決定、ポイントは新設される『出入国在留管理庁』の機能次第だ

 『外国人材受け入れ拡大法』こと「改正出入国管理法」が12月8日に成立したと NHK が報じています。

 一部の野党やマスコミは「外国人材の受け入れ拡大」に焦点を当てていますが、より重要なのは「出入国在留管理庁」が新設されることでしょう。なぜなら、入管庁が機能することで外国人材との共存がスムーズに行く可能性が高まるからです。

 

 来年4月からの外国人材の受け入れ拡大に向け、新たな在留資格を設ける改正出入国管理法と、出入国在留管理庁を新設する改正法務省設置法は、8日午前4時すぎ参議院本会議で成立しました。

 「出入国在留管理庁」の新設が重要なのは現状の『外国人の在留状態の実態把握と運用』に様々な問題があるからです。

 「永住許可」や「在留資格」に対する精査が雑で、偽造カードなどを使った不法滞在など入管法に違反する事例が数多く発生している状況です。これらの諸問題を是正することは正規の資格を有して日本に滞在する全ての人々にとってのメリットになる訳ですから、入管庁にかかる期待は大きいと言えるでしょう。

 

外国人の在留資格を正確に把握することが必須な状況

 まず、入管法に違反する事例の約8割が「不法残留」であることは法務省入国管理局が資料(PDF)で明らかにしています。つまり、『入国管理』だけでは防ぐことができたい状態が現に発生しているのです。

画像:入管法違反の内訳

 このような事態が起きる理由は「性善説に基づく運用を念頭に置いた制度設計がされていたから」でしょう。

 在留期限が来れば、多くの人は帰国します。しかし、帰国することで生活水準が下がることが明らかであれば、「居座り」を選択する不届き者が自然と発生します。これはどの国においても発生することであるため、厳正に対処する必要があることです。

 日本は島国ということもあり、『入国管理』に重点が置かれて来ました。ただ、「期限が過ぎても退去を拒む外国人」を日本国内に野放しにしておくメリットは何もありませんし、不正を働く者は国内から排除することが当然の対応だと言えるでしょう。

 そのためには『入国管理局』を『出入国在留管理庁』に “格上げ” して、国内で不法に居座る外国人を徹底的に排除する必要があったのです。

 

「 “害人” の仮放免」を要求する左翼政党とその支持者

 ところが、一部の野党やその支持者は「日本国内に不法に居座る外国人」を擁護しているのです。代表例は「送還忌避者の仮放免要求」でしょう。

 日本から退去命令が出ているにも関わらず、直ちに送還することができない理由があるため一時的に収容を解かれている者が3000人以上もいるのです。刑事罰を受けて服役しているケースもあるのですから、「異常な事態」と言わざるを得ないことです。

画像:送還忌避者数の推移

 サッカーではレッドカードを受けた選手は退場となります。選手が「退場は嫌だ」とゴネたり、所属チームが「受け入れられない」と無視したとしても判定は覆りません。

 しかし、在留資格の分野では「サッカーの退場処分に該当する強制退去処分を受けても、当事者か国籍保有国が拒否すれば居座ることが可能」なのです。これは明らかに是正しなければならない点であると断言できるはずです。

 

問題行為を起こした外国人の国外退去を徹底することによるプラス効果は計り知れない

 不法残留を始めとする問題行為を起こした外国人に対して国外退去処分を徹底することは様々なメリットをもたらすと予想できます。

  • 治安が良好となる
  • 労働市場への悪影響が減少する
    → 不法残留者が法定賃金以下で働かないため
  • 「外国人 = 不法滞在」などの偏見の払拭

 少なくとも、上記の点での効果は期待できます。そのため、問題行為を起こした外国人に国外退去処分を下し、それを執行することによって得られる点は大きいと言えるでしょう。

 しかし、『外国人労働者の人権』を掲げる左翼は「強制退去の対象となった外国人」まで日本国内で自由に生活させることを要求しているのです。不良外国人による損害を被るのは日本人であり、日本国内の品行方正で善良な外国人です。

 彼らは「外国人労働者がひどい目にあった」と騒いで企業から和解金を巻き上げることに熱心ですが、「外国人労働者の狼藉で損害を受けた」との訴えには見向きもしないでしょう。それどころか、そのような訴えをする人々を「差別主義者」と罵り、レッテル貼りに励むことでしょう。

 

 社会を不安定にすることで恩恵を受ける界隈の影響力を制限するという意味でも、『出入国在留管理庁』の働きは重要となります。正規の在留資格を持たない外国人に対し、どれだけ厳しい姿勢で業務を遂行することができるのかが注目点と言えるのではないでしょうか。