“強制送還命令の取り消し訴訟で敗訴したペルー人母子” が在留特別許可を求めた訴訟、大阪地裁が訴えを退ける
NHK によりますと、日本に不法在留していたペルー人の両親から生まれた姉弟と母親が在留特別許可を求めていた裁判で大阪地裁が原告の訴えを退けたとのことです。
この訴訟で特筆すべきは「過去に強制送還命令の取り消し訴訟で敗訴している」ということです。正規の在留許可を持たない立場であるにも関わらず、「日本の高校への進学実績」を理由に在留特別許可を求めていたのです。
これは「居座った者勝ち」の状況を作り出す温床となるだけに、“原告に下されている国外退去処分” を速やかに執行する責務が当局にはあると言えるでしょう。
日本に不法在留していたペルー人の両親の間で生まれ大阪の高校に通うきょうだいが在留特別許可を求めていた裁判で、大阪地方裁判所は「日本の高校への進学は違法状態のうえに築かれたもので、在留を認める事情にはあたらない」として訴えを退けました。
「強制送還命令の取り消し訴訟で敗けた」という事実を棚に上げての要求は悪質
このペルー人母子による訴訟は提訴された際に言及しています。その際に整理した時系列に NHK が今回の記事で報じた情報を付け加えると下表のようになります。
1990年台 | ペルー人の両親が不法入国 |
---|---|
2000年台 | 姉と弟が誕生 |
2011年 | 父親が不法残留の容疑で逮捕 →「8年前、父親は逮捕されて〜」と NHK |
2013年 | 強制送還命令の取り消し訴訟を起こすも敗訴。訴訟後は仮放免で日本で生活を続ける |
2016年 | 父親がペルーに送還 |
2017年7月 | 母親・姉・弟がペルーに送還されると入管から通告を受ける |
同年8月 | 母親・姉・弟が「3名全員の在留特別許可」を求めて提訴 |
2019年11月 | 大阪地裁が「不法残留の違法状態の上に築かれたもので在留を特別に認める事情には当たらない」と “2度目の訴え” も退ける |
在留特別許可を求めるペルー人の母子3人が提訴した際、「父親が逮捕された時期」と「強制送還命令の取り消しを求める訴訟を起こして(敗訴して)いたこと」には言及されていませんでした。
(言及されていたなら、「再チャレンジが認められるのは論外」とも2年前に批判しているはずだから)
司法が「当該ペルー人家族に対する強制送還命令は妥当」との決断を下したにも関わらず、そのことを隠す形で在留特別許可を要求することは「厚かましい」の一言に尽きます。大阪地裁の判決理由は極めて妥当なものであり、これ以上の温情を示す必要性は皆無と言えるでしょう。
「日本での生活が定着したから在留特別許可を寄越せ」が通用するなら、入国審査や移民審査が瓦解する
ペルー人母子3名が批判されるべきは「日本での生活が定着した」との理由で在留特別許可を要求している点です。
きょうだいは中学校や高校に進学し、日本での生活がいっそう定着したとして、おととし、国に対し2回目の訴えを起こし在留特別許可を求めていました。
「定着した」との理由で在留特別許可が得られるなら、自称・難民どころか観光客であっても条件を満たすことになってしまいます。しかも、勤労能力に対する選別が皆無な状況ですから、日本の社会保障制度にタダ乗りすることが濃厚です。
姉は「違法状態の上で府立高校に通学」しており、日本人(または正規の滞在資格を持つ)受験生を府立高校から不合格という形で1人締め出しています。学費の面で “しわ寄せ” を受けた被害者が発生していることを見落とすべきではないと言えるでしょう。
ペルー人の母親は「娘は変わらず内定を得た大学に進学する」と宣言
ペルー人の母親は「この結果はあり得ない」と判決後の会見で批判していますが、“あり得ない” のは不法在留をしているペルー人の母子3名です。
『仮釈放』という形でお茶を濁した対応をするから、泣きの再提訴に踏み切る要因になるのでしょう。「強制送還の取り消しを求めた訴訟」が結審した時点で家族揃って強制送還に踏み切るべきでしたし、今回の判決を受けてもまだ居座り宣言をする母親が日本国内を堂々と闊歩できるのです。
「日本での生活が定着した」が特例の根拠になってしまうと、同様の理由で訴訟を起こす不法滞在家族が続出することは目に見ています。
勝訴した前例があるのですから、弁護士などの支援者が訴訟を積極的に手伝うことでしょう。なぜなら、在留特別許可を得てしまえば、後の生活費は行政が(生活保護などを通して)見てくれるからです。
滞在許可を得るための正規の手続きを無視した外国人を特別に配慮する必要はありません。今回のペルー人家族のように「経済的理由」が根底にあるなら、ビザ審査による手続きを絶対条件とし、違反者には国外退去処分を速やかに断行する必要があると言えるのではないでしょうか。