大阪で今度は不法滞在のペルー人親子が在留特別許可を求めて提訴

 不法残留中のペルー人の両親の間に生まれ、日本以外で暮らした経験を持たないペルー国籍の姉と弟が母親とともに在留特別許可を求めて大阪地裁に提訴したと NHK が報じています。

 同様の訴訟は韓国人も起こしています。“アンカーベイビー” の手法によって在留特別許可が認められるなら、『特別』とは呼べないでしょう。即座に国外退去とすべき事案なのです。

 

 訴えによりますと、きょうだいは、20年以上前に不法入国したペルー人の両親の間に生まれ、一度も日本を出ることなく育ちましたが、父親は、不法残留の疑いで逮捕されて、去年、強制送還され、きょうだいと母親も大阪入国管理局から、今月中にペルーに送還すると通告されました。

 きょうだいは、ペルーのことばのスペイン語をほとんど話せず、日本の大学や高校への進学をめざしていて、自分たちには何の落ち度もないのに、ペルーに送られれば取り返しのつかない悪影響を受けるとしています。

 そのうえで、国に対し、養育者の母親も含め人道的な観点から在留特別許可を出すよう求めています。

 

 この姉弟は「何の落ち度もない」と主張していますが、「在留資格を持たない」ことは完全な落ち度です。家族全員がペルーに送還すると通告されているのですから、「落ち度はない」との主張が根本的に間違っているのです。

 こうした輩が在留特別許可を求めるほど、基準が厳しくなることになるでしょう。

 

1:時系列

 NHK のニュース記事で紹介されている内容を時系列で整理すると、以下のようになります。

1990年台 ペルー人の両親が不法入国
2000年台 姉と弟が誕生
父親が不法残留の容疑で逮捕
2016年 父親がペルーに送還
2017年7月 母親・姉・弟がペルーに送還されると入管から通告を受ける
2017年8月 母親・姉・弟が「3名全員の在留特別許可」を求めて提訴

 お決まりの茶番劇と言えるでしょう。“在留特別許可” が認められる要件があるなら、強制退去の処分が出る前に申請しているはずだからです。

 強制退去(=送還)の処分が決定した後で “在留特別許可” を要求したところで、ゴロツキがゴネているだけと世間から批判される結果となるだけなのです。

 

2:類似の訴訟では大阪高裁でも原告敗訴

 このペルー人親子と類似する訴訟は大阪で起きています。毎日新聞が応援キャンペーンを展開している韓国人のケースなのですが、2審の大阪高裁でも棄却されています。

  • 不法残留した韓国人の両親と息子が国に在留特別許可を求めて提訴
  • 「帰国しても大きな不利益はない」との1審判決が支持
  • 弁護士は「少年が社会人として歩めるよう家族で在留を認めるべきだ」と主張していた

 強制退去処分が出た状況で日本に住み続けるには『在留特別許可』が必要です。しかし、強制退去処分が出るほどの問題を持った人物から「特例として在留を認める理由」を見つけることの方が困難と言えるでしょう。

 

3:ペルー人の姉が通う府立高校の嘆願書には大きな問題がある

 提訴した3名のペルー人親子は墓穴を掘っている可能性があります。特に、姉が通う府立高校の嘆願書は大きなマイナスとなるでしょう。

 「ペルーの現地語(=スペイン語)を全く話せないから、日本に留まり続けたい」と主張しているにもかかわらず、「ペルーと日本の架け橋となる人材」と述べています。国籍以外に何もアドバンテージがないのですから、この姉でなくても良いことを認めてしまっています。

 ペルー側には「不法滞在しても子供がいれば、在留できる」との事例は “最高の架け橋” ですが、日本側(特に行政)から見れば、負担が増えるだけの一方通行で何の魅力もありません。この事実を見落としています。

 また、『子供の権利条約』を持ち出していますが、在留資格を持たないペルー人の姉が公立高校に合格したことで、“在留資格を有する受験生” が公立高校から不合格として1人弾き出されているのです。

 つまり、ペルー人の姉は「ある受験生が持っている “子供の権利” を損なわせた側」なのです。経歴詐称に該当する事案なのですから、退学処分が妥当なものでしょう。

 そうしないのであれば、ペルー人の姉によって不合格とされた生徒を救済(後期から進学を認める、または私立高校の学費の一部を補填する)しなければ、あまりに不公平です。公立高校に在籍しているという事実だけで十分すぎるほどに優遇されていると言えるはずです。

 

4:在留特別許可の基準が明らかになると、対策を講じて許可を狙う輩が出てくる

 NHK は大阪大学大学院の村上正直教授のコメントとして、「在留特別許可の基準が諸外国と比べるとブラックボックス」だと紹介しています。

 これはブラックボックスのままで良いでしょう。なぜなら、基準が判明すれば、許可が出る水準にまで “身元を用意する” ブローカーが蔓延る土壌を作ることになるからです。「申請の際、このエピソードを言え。物証や書類はこちらで用意する。料金は〇〇円だ」というケースが頻発することでしょう。

 ヨーロッパにやっているアフリカからの難民はいずれも同じエピソードを語ります。そうした “ワルのノウハウ” が広まることで損をするのは一般社会なのです。

 密入国や不法滞在をするような個人の利益を考え、柔軟に対応せよなどと要求する村上教授の考えがよっぽど “お花畑” と言えるはずです。

 

 タイ人の少年ウティナンおよび支援者が在留特別許可を求めたケースでも同じで不法滞在者の利益に供与することが間違っています。なぜ、ルールを破った者が得をし、正直者が損をする社会を求めるのでしょうか。

 “支援者” と言っても、『裁判』を支援するだけで『不法残留者の生活』は支援しないのです。支援者が投げ出している不法残留者の面倒を社会全体が見るべきとの判例が出る可能性はないとの前提で支持者は活動に取り組む必要があるのではないでしょうか。