シリア内戦の避難民、60万人が2017年1月から7月の間に自宅へと戻る

 混沌としていたシリア情勢ですが、収束へと向かいつつあると言えるでしょう。AFP 通信によりますと、国連の国際移住機関(IOM)が発表したレポートでシリアの避難民60万人が自宅に帰還したとのことです。

 これは戦況が落ち着いたと見ることができますし、内戦の終結に向けたポジティブな動きだと言えるはずです。

 

 シリア内戦により家を追われた避難民のうち、60万人以上が今年、自宅へと帰還していたことが、国連(UN)の国際移住機関(IOM)発表のデータによって明らかになった。帰還者の大半が、同国北部アレッポ(Aleppo)へと戻っていった避難民だったという。

 

 『シリア人権監視団』という “胡散臭さのある民間団体” の発表より、国連の国際移住機関(IOM)がレポートという形で報告している内容の方が信憑性があると言えるでしょう。

 避難民の発生が完全にストップした訳ではありませんが、避難民の中から「自宅へと戻る」という決断が大きな規模で現れていることはポジティブに捉えるべき事象です。レポートに記されていた内容をグラフとし、現状を視覚的に把握しておく意味はあると思われます。

 

1:国際移住機関が発表したレポートをグラフ化

・どこから帰還しましたか

画像:シリア国内に戻った人々の避難先

 

・戻った理由は何ですか

画像:避難民の帰還した理由

 

・帰還した地域と人数

画像:シリア難民が帰還した地域とその人数

 

2:シリア北部での戦況が「政府側の勝利」で確定しつつあることが最大の要因

 国際移住機関(IOM)が発表したレポートから読み取れることは「シリア国内の自宅に戻った60万人のほとんどが北部の住民だった」ということです。

 これは “激戦地” アレッポなどでの戦闘が政府側の勝利で決着しつつあることが理由だと考えられます。アサド政権の支配を嫌うのであれば、帰還するという選択肢はないはずです。

 財産や資産を確保するために戻っている訳ですから、平穏な生活に向けての一歩を踏み出したと言えるでしょう。政権に自分たちの財産や資産を没収されるリスクがないから戻る理由がある訳であり、騒乱の原因をアサド政権に押し付ける姿勢の方が問題だと言えるのです。

 

 シリアでの内戦が長引いた理由は欧米のリベラル派が「アサド政権打倒」を安全地帯から主張し続け、反政府勢力を(武器や物資の面で)中途半端に支援し続けたからです。

 そのツケが『難民』という形でヨーロッパ諸国などに押し寄せているのですから自業自得と言えるでしょう。アサド政権が欧米リベラルが主張するように圧政であるなら、家族旅行という形でシリア国外に出た際に難民申請を行うことで確実に認定されたことでしょう。

 そうしたエピソードは人権が大好きなマスコミがほとんど報じていなかった訳ですから、アサド政権そのものが悪役という形で “角度を付けて報じられていた” と見ておく必要があると言えるのではないでしょうか。