ラオスで韓国企業が建設するダムが決壊、人為的原因による事故との指摘も浮上
韓国の SK 建設がラオスで建設中のダムが決壊し、甚大な被害が発生しています。
中央日報によりますと、「事故4日前から兆候があった上、現地の韓国人職員全員は事前に避難を完了していた」とのことです。これが事実であるなら、施工を請け負った韓国企業の責任は避けられないと言えるでしょう。
SK建設が自社が建設に参加したラオスのダムの決壊について「ダムが崩壊したのではなく豪雨でダムが氾濫した」と釈明していたことに対し、「責任逃れ」という批判が出ている。実際にはダム決壊の兆候を把握していたという。
25日(以下、現地時間)の仏AFP通信によると、SK建設側はダム上段部が流失したことを先週日曜日(22日)午前9時に発見したと明らかにした。ダム決壊の24時間前だ。SK建設側は「(発見後)直ちにラオス当局にこの事実を知らせ、村の住民を避難させ始めた」とし「豪雨によって補修作業が遅れ、補助ダムが決壊する危険が高まると、23日朝からセナムノイダムの水を放流するしかなかった」と釈明した。
実際、現場にいた韓国人はあらかじめ避難して無事だった。
「ダムが決壊したこと」は事実です。焦点は「決壊した原因」でしょう。
当初、SK 建設は「氾濫」だと主張していました。しかし、共同でプロジェクトに関わる韓国西部発電が「20日に中央ダムで 11cm の沈下が確認された」などと国会に報告したこともあり、SK 建設も「決壊」を認めました。
人災の色合いが強い事故であるだけに、インフラに関わる部分は日本のマスコミも報じる必要があると言えるでしょう。
大規模インフラ事業で工期短縮と引き換えにボーナスが出ることは一般的
ラオスで起きたダム決壊事故では、発注者から施工者に工期短縮によるボーナスが支給されていたと東亜日報(韓国語)が報じています。
동남아 댐 공사에서 공기를 단축한 건 SK건설이 처음이다. 발주처가 SK건설에 공사 조기완료에 대한 고마움의 표시로 2000만달러(약 227억원)를 보너스로 지급했을 정도. SK건설은 프로젝트 완료 후 연간 1억4000만달러(약 1620억원)의 전력 판매 수익을 올릴 것으로 추산했다.
和訳:東南アジアのダム建設工事で工期を短縮したのは SK 建設が始めてだ。発注先は SK 建設に工事の早期完了に対する感謝の印として、2000万ドル(約227億ウォン)を支払ったほどだ。SK 建設はプロジェクト完了後、年間1億4000万ドル(約1620億ウォン)の売電収入を見込んでいる。
「ボーナスの支払い」に対する批判の声もありますが、大規模なインフラ事業で「工期短縮と引き換えにボーナスが支給されること」は一般的です。
これは工期が短縮されれば、現場作業員に支払う人件費が浮くことが理由です。例えば、工期5年で想定していたプロジェクトが4年半で完了すれば、6ヶ月分の従業員への給与を支払う必要から解放されます。
そのため、発注者が施工者に「1〜2ヶ月分の従業員の給与」を “感謝の印” という形でインセンティブボーナスを支払うことは珍しいことではないのです。
問題は「決壊の兆候があったこと」と「実際に決壊したこと」
技術力などの進歩で工期が予定より短縮されることはプラスと言えるでしょう。なぜなら、プロジェクト完成によるメリットを多くの人が享受できるからです。
しかし、手抜き工事などが理由で完成が早まったのであれば、問題が散見される結果となります。
ラオスでのダム決壊事故については、「決壊の兆候が事前に発見されていたこと」が致命的です。「決壊を防ぐために放水せざるを得なかった」と釈明していましたが、それでも決壊したのです。
ダム構造・建設工事の実態・運用の3点において、不備がなかったかを確認する必要があると言えるでしょう。
愛媛県でのダムの放水による河川の氾濫を「人災」と声高に批判した日本のマスコミは「ラオスでのダム決壊事故」を人災という扱いで批判する論調を記載してくれるはずです。
ダム決壊の原因を報じ、同様の事故が日本で発生することがないよう警鐘を鳴らすことがマスコミの使命であるはずです。
ジャーナリズムが根付いた報道機関が存在するのか。それとも、単に政権批判や吊るし上げを行うだけの無責任なマスコミなのかが明らかになる事案と言えるのではないでしょうか。