韓国が日本に対する経済制裁で有効なのは「DRAM や NAND の輸出妨害」ではなく「k-pop や韓流ドラマの輸出制限」だ

 朝鮮日報によりますと、韓国政府が『輸出管理を強化した日本への対抗策』として「 DRAM や NAND 型フラッシュを戦略物資として扱う」との “報復” に乗り出す可能性を示唆したとのことです。

 ただ、これは効果を発揮しないでしょう。なぜなら、DRAM や NAND は “代替可能な” 汎用品だからです。

 サムスンや SK 以外にも購入先はありますから、買い手である(日本の)メーカー勢が困ることはありません。むしろ、販路に制約をかけられる韓国勢の受けるダメージの方が大きいと言わざるを得ないでしょう。

 

 韓国も日本と同様にホワイトリスト(戦略物資輸出審査優遇国)を運用している。

 (中略)

 韓国が世界市場の70%を掌握しているメモリー半導体は現在、韓国の戦略物資リストには含まれていない。ただし、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官は同日の国会答弁で、「戦略物資にDRAMとNAND型フラッシュも該当する。輸出管理手続きが変わるだろう」と答えた。

 

東芝やマイクロンは “必死に笑いを堪えている状況”

 韓国政府の対応が「微妙」と言わざるを得ないのは「韓国企業のライバル社に市場をプレゼントする愚策をしているから」です。

 韓国が “報復” として考えている DRAM と NAND 型フラッシュですが、『フラッシュ・メモリ・サミット』でジム・ハンディ氏が発表した市場シェア(PDF)は下表のとおりです。

表:DRAM と NAND の主要メーカーの市場シェア
会社名 DRAM NAND
サムスン 46% 33%
SK ハイニックス 26% 11%
東芝 -- 19%
WDC / SanDisk -- 18%
マイクロン 21% 12%
インテル -- 7%

 サムスンや SK が市場で圧倒していることは事実です。しかし、「サムスンや SK でなければ製造できない DRAM や NAND」は存在しません。

 そのため、韓国政府が「DRAM やNAND の日本輸出を妨げる」ことを実行に移すなら、日本のメーカーは東芝やマイクロン等に購入先を切り替えるでしょう。

 また、該当商品は「品薄」ではなく、「在庫過多」にあります。この状況で「日本市場を捨てる」ことを韓国政府が求めているのですから、韓国企業にとっては迷惑な政策と言わざるを得ないでしょう。

 

韓国独自の “k-pop” や “韓流ドラマ” の輸出規制ぐらいしか『カード』はない

 輸出規制が制裁の意味を持つのは「『代替品の準備が難しく、相手にとって必要不可欠なもの』が対象になった場合」です。この条件に合致しない場合は “空回り” に終わることが濃厚です。

 要するに、独自性を有していることが重要なのです。韓国で該当品を探すなら、k-pop と韓流ドラマぐらいでしょう。したがって、「k-pop と韓流ドラマの日本輸出を自重するよう要請する」という “制裁” が最も効果的と考えられます。

  • k-pop
    • 訪日公演の自粛を各芸能事務所に要請
    • Youtube に公開中の MV への日本からのアクセス禁止
    • 日本メディアに対するコンテンツ利用料の引き上げ
  • 韓流ドラマ
    • 日本メディアに対するコンテンツ利用料の大幅な引き上げ
    • 訪日自粛を各芸能事務所に要請

 具体的には上述のような対処を韓国国内で各芸能事務所に対して “要請” すれば良いのです。韓国側の「狙い」とも合致する結果が期待できるのですから、「検討に値する」と言えるはずです。

 

メディアが言う「若者に韓国が人気」が事実なら、韓流コンテンツを絶たれた若者が『反安倍』に転向するはず

 日本のマスコミは「若者に韓国が人気」との記事を定期的に発信しています。もし、これが事実であるなら、日韓関係の悪化を理由に韓流コンテンツを絶たれることになった若者は『反安倍』へと転向するが期待できます。

 なぜなら、韓国は「今回の問題は日本(≒ 安倍政権)が悪い」と繰り返し宣伝しており、この主張に賛同する “日本の” 若者が現れることが期待できるからです。

 安倍政権は「若い世代からの支持率が高い」との特徴を有しています。マスコミの分析が正しければ、政権の有力支持層を切り崩すことができるのです。

 したがって、「韓流コンテンツの日本輸出に対する管理を強化する」との政策の方が “報復” としては有用と言えるはずです。少なくとも、韓国企業に市場を捨てることを実質的に強要する DRAM や NAND の輸出規制よりもマシと言えるのではないでしょうか。