諸問題への対応を怠る韓国が「GSOMIA 破棄は8月15日のムン大統領の演説に対して日本が動かなかったから」と責任転嫁を開始

 韓国のキム・ヒョンジョン国家安保室第2次長が「GSOMIA を破棄することになった原因は日本にある」と主張していると朝日新聞が報じています。

 日韓基本条約に定められた「協議による外交的解決」や「仲裁委員会の設置」などを拒否したのは韓国です。このことを棚に上げ、「対話に基づく解決を模索していた」と韓国が主張するのは失笑を禁じえない事態と言わざるを得ないでしょう。

 

 金氏は、韓国側が元徴用工問題をめぐる大法院(最高裁)判決などについて、外交的解決をめざす対話を求めてきたとし、「日本側は全く真剣に取り組まなかった」と主張。文在寅(ムンジェイン)大統領が日本統治からの解放を記念する今月15日の「光復節」式典で行った演説についても、「高位級の人物が日本を訪問し、発表前に内容を知らせたのに、日本側は何の反応も見せず、感謝の言葉もなかった」と批判した。

 

日韓の諸問題への対応を怠り、対話による解決を拒んでいたのは韓国

 「韓国が外交的解決を目指す対話を求めたいた」との主張は事実と異なります。なぜなら、韓国側が「協議」や「仲裁委員会」に応じて来なかったからです。

 もし、韓国が(諸問題の)外交的解決を目指していたなら、2019年1月に日本側から要請された「日韓請求権協定に基づく協議」に応じているはずです。

 しかし、韓国は応じることはなく、仲裁委員会の設置も拒否しました。真剣に取り組んでいないのは韓国であり、この責任を日本に転嫁しようとする態度は厳しい批判にさらされるべきものと言わざるを得ないでしょう。

 

15日の演説は「日本が譲歩するなら、その姿勢は評価してやる」との無責任極まりない内容

 次に、韓国政府は「ムン・ジェイン大統領が8月15日の演説で日本に歩み寄る姿勢を見せたことへの見返りがなかったこと」を GSOMIA 破棄の理由として述べています。これも筋違いな主張と言わざるを得ないでしょう。

画像:演説する韓国のムン大統領

 まず、ボールは韓国側にあるのです。

 慰安婦合意の一方的な破棄、火器管制レーダーの照射、徴用工裁判での請求権協定違反に対応する責任は韓国政府にあります。求められているのは『言葉』ではなく『行動』です。

 自分たちが “やらなければならない行動” を起こしていないにも関わらず、「手を握る考えはあるから『我々韓国が手を握りたくなる譲歩案』を日本が提示すべき」との韓国政府の姿勢が日本で支持される可能性は低いと言えるでしょう。

 

「具体策が見えぬ」と門前払いにした読売新聞の社説がすべてを物語っている

 ムン・ジェイン大統領の演説が無意味なものだったことは読売新聞が8月16日の社説で批判しています。「反論せざるを得ない内容しか言っていない」のですから、当たり前の反応と言えるでしょう。

 韓国の文在寅大統領は悪化が続く日韓関係の修復に、本気で取り組むのか。具体的な行動をとらなければ、日本側の不信はぬぐえない。

 日本統治が終わったことを記念する「光復節」の式典で、文氏が演説した。「今でも日本が対話と協力の道へと進むならば、喜んで手を取る」と強調した。関係悪化の原因が日本にあるかのような言辞は受け入れられない。

 読売新聞が社説で指摘した内容は以下のものです。

  • 全体
    • ムン大統領が具体的な行動を取らなければ、日本側の不信は拭えない
    • 関係悪化の原因が日本にあるかのような言辞は受け入れらない
  • 輸出管理問題
    • 韓国が指摘する『輸出規制』ではない
    • 半導体材料の輸出許可は出ているし、批判は的外れ
    • まずは貿易管理体制を見直すことが筋
  • 徴用工問題
    • 韓国政府が有効な善後策を採っていない
    • ムン大統領は今回の演説で言及を避けた
    • 関係改善を望むなら、両国関係の法的基盤である協定を尊重すべき

 内容は極めて正論であり、国際協調を訴える陣営が主張しているべき内容と言えるでしょう。しかし、韓国はこれらの項目を守ろうとはしていないのです。

 ところが、親韓派は「韓国の主張を受け入れて譲歩すべき」と主張しているのです。その主張は「常軌を逸している」と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、譲歩によって日本側が被る損害が全く考慮されていないからです。

 「戦略物資の不適切管理」を揉み消せば、日本の信用が失われます。日韓両国間での合意や基本条約の違反に理解を示せば、それだけ日本の国益が損なわれることになるのです。

 

 韓国のご機嫌取りをした結果、日本の立場が危うくなっては本末転倒と言わざるを得ないでしょう。“大人の関係” が構築できなければ、行き詰まるのは当然なのです。韓国に責任ある対処を公式に要求し続けることが重要と言えるのではないでしょうか。