イ・ナギョン首相が「韓国は基本条約と請求権協定を順守している」と主張し、日韓首相会談は平行線に終わる

 日韓首相会談が24日に行われたものの、平行線に終わったと NHK が伝えています。

 韓国側は「『即位礼正殿の儀』に合わせてムン・ジェイン大統領の親書を携えたイ・ナギョン首相との会談により日韓関係は正常化する」と異常なまでの期待を抱いていましたが、事態が動きことはありませんでした。

 原因を作った側の韓国が開き直っているのですから、当然の結果と言わざるを得ないでしょう。

 

 日韓関係が悪化する中、安倍総理大臣は24日、韓国の首相と会談し、「健全な関係に戻すきっかけを作ってもらいたい」と韓国側の行動を改めて求めましたが平行線に終わりました。

 (中略)

 会談で、安倍総理大臣は「日韓関係をこのまま放置してはならず、健全な関係に戻すきっかけを作ってもらいたい」などと述べ、国際法違反の状態を韓国側が是正するよう重ねて求めました。

 これに対し、イ首相は、ムン・ジェイン大統領からの親書を手渡すとともに、韓国は日韓基本条約と日韓請求権協定を順守しているという従来の主張を繰り返し、会談は平行線に終わりました。

 

韓国が大きな期待を寄せていた “身勝手なシナリオ”

 イ・ナギョン首相の訪日に韓国側が異常なほどの期待を寄せていた理由は以下のシナリオに沿って事態が動くとの希望的観測が出ていたからでしょう。

  1. 知日派のイ・ナギョン首相が『ムン・ジェイン大統領の親書』を携えて訪日
  2. 韓国が「礼を尽くした」のだから、安倍首相は無下にできない
  3. 「輸出管理の強化を止める」という “返礼” をするはず
  4. 日本が輸出管理強化を止めれば、韓国も『GSOMIA 破棄の撤回』ができる
  5. 日韓関係は正常化へ

 要するに、韓国は「こじれた日韓関係」を元通りにする “きっかけ” を作ったと認識しているのです。だから、政府やマスコミが総出で「関係は改善する」と宣伝していました。

 しかし、すべて韓国側の希望的観測です。こじれの原因は「輸出管理の強化」ではなく、慰安婦合意の破棄や徴用工問題など「韓国が条約などの合意事項を順守しないこと」です。この部分に決定的な食い違いが生じているのですから、「話にならない」と言わざるを得ないでしょう。

 

国家間の合意事項を無視する韓国に譲歩することはできない

 日本政府がすべきのは「隣国が健全な関係を築けないのは残念だ」と言及することです。問題を作ったのは韓国側であり、「国家間の合意が無視されている事実」を繰り返し指摘し、行動を起こすことを要求し続ける必要があります。

 なぜなら、現時点で韓国に歩み寄ることは「国家間の合意を無視した事実に目を瞑る」とのメッセージを送ることになってしまうからです。

 合意の内容を無視しても不問になるなら、『新たに締結した合意』も遅かれ早かれ無視されることになるでしょう。現に韓国は『日韓基本条約』の内容を無視していますし、『請求権協定』に記された仲裁委員会の設置も行いませんでした。

 にも関わらず、イ・ナギョン首相は「韓国は条約と協定を順守している」と主張しているのです。これでは会談が平行線のままで終わることは当然の結果と言えるでしょう。

 

日本側に「急いで韓国との関係改善に奔走しなければならない理由」はない

 韓国政府が国内メディアを使って「関係改善」を煽ったとしても、日本政府が行動に移すことはないでしょう。日本側に「早急に韓国との関係を改善しなければならない理由が見当たらないから」です。

 そのため、日本政府は「日韓基本条約を順守せよ」と言い続け、韓国政府が具体的な措置を講じるまで動かないと考えられます。

 これは “当たり屋” と早急に和解する必要がないことと同じです。問題はすべて韓国側にあるのですから、日本が譲歩や配慮を示す必要はありません。仮に日本側が譲歩すると、味を占めた韓国が今後も集りに来ることが容易に想像できるからです。

 「国と国との約束を守らない」なら、韓国とはそうした前提での二国間関係を新たに構築せざるを得なくなります。

 『健全な関係』を構築するために必要不可欠である信頼関係を損ねる振る舞いをした韓国が態度を改めないのであれば、冷めた関係が定着することになると言えるのではないでしょうか。