パン・ギムン前国連事務総長が「日韓は記録が残らない “密室外交” に戻るべき」と主張し、韓国側への配慮を要求する
朝日新聞によりますと、前の国連事務総長であるパン・ギムン(潘基文)が朝日新聞のインタビューに応じ、「日韓の首脳は非公式会談を行うべき」と主張したとのことです。
これはそうなった方が韓国側にとって都合が良いからに過ぎません。なぜなら、以前のような『密室外交』では記録が存在しないため、援助を受ける側の韓国だけが「裏切りによるメリット」を手にできていたからです。
その手段が封じされたことで、韓国側が弱っており、泣き落としに来たに過ぎないと言えるでしょう。
2016年末まで国連事務総長を務めた潘基文(パンギムン)氏が23日、朝日新聞のインタビューに応じた。日韓関係改善のため、両首脳の非公式協議を提案すると同時に、日本の政治家に発言の自制を求めた。また、北朝鮮が核放棄をしない可能性があるとし、国際社会が制裁を維持するよう呼びかけた。
(中略)
「当局者が問題を解決するうえで助けになる」との理由で、安倍晋三首相と文在寅(ムンジェイン)大統領が今月末の国際会議の際に会談するよう訴えた。「正式な会談は報道されるし、記録も残る。双方に負担だ」と述べ、非公式な接触を勧めた。
記事を書いたのは朝日新聞のソウル支局長を務める牧野愛博氏です。この記事で高く評価すべき点は「韓国側の本音を引き出した」ことと言えるでしょう。
なぜなら、パン・ギムン氏はノ・ムヒョン政権時に外交部長官(= 日本でいう外務大臣)を務めた人物だからです。「同じ左派政権のムン・ジェイン政権も同じ思惑を持っていると見て問題ない」と言えるはずです。
韓国側が「正式な記録が残ると負担になる」と主張する理由
韓国が “非公式な接触” を要求するのは「以前の “いびつな日韓関係” に戻し、再び恩恵を手にしたい」という思惑・本音があるからです。
- 日本が韓国の要求を一方的に聞き入れる形態
- 『密室外交』のため、合意事項の詳細は当事者しか知り得ない
→ 裏切って開き直れば、合意による利益の総取りが可能
非公式であれば、「正式なものではない」と好きな時に撤回が可能です。しかも、相手側は批判の根拠を何も持っていないのですから、騙した分だけリターンを得ることになるのです。その典型例が『河野談話』と言えるでしょう。
ところが、韓国にとって格好の “カモ” だった日本もさすがに学習し、『密室外交』の悪しき伝統に安倍首相がピリオドを打ちました。
会談による正式な記録が公開されると、それが「評価の基準」と世間に認識されます。つまり、韓国政府が自己都合で『基準』を動かせなくなったのです。『基準』を好きに動かすことで政権運営をしてきた韓国政府にとっては大きな制約が設けられたと言えるでしょう。
首脳・閣僚級の二国間会談を非公式で行うメリットはない
会談を非公式にしてしまうと、公式には「会談はしていない」との記録が残ることになります。国を代表する立場にある首脳や閣僚による会談を「なかったもの扱い」にすることは明らかに異様です。
こうした要求を韓国がするのは「日本が “自発的に” 韓国への追加措置を行った」と国内向けに発表できるという思惑があるからに他なりません。
また、「国内向けの説明」という理由で発表した内容を使った海外宣伝を行うことも可能になります。日本側から文句が出たとしても、「会談でそうした話はなかった」と非公式を理由に開き直ることができるのですから、記録は残っていない方が都合が良いのです。
非公式や水面下で行うのは「実務者による協議」です。正式な交渉を行うための下準備や打ち合わせが代表例でしょう。
ですが、韓国は「後々になって合意を反故にしたい時に負担になる」と文句を言っているのです。支援をする側の日本が韓国の意向を汲み取る価値が薄れて行くのは当然のことだと言わざるを得ないでしょう。
韓国が『徴用工裁判における韓国政府の対応策』を明言しない限り、非公式での会談は一切不要
朝鮮半島出身の労働者が『徴用工』として訴訟を起こした件ですが、「韓国政府がどのような方針を採るのか」を示すまで日本政府が動く必要はありません。なぜなら、ボールは韓国政府が持っているからです。
- 日本企業の資産を差し押える
- 日韓基本条約に基づき、韓国政府は慰謝料を支払う
このどちらかを韓国政府は選ばなければならない立場にあります。韓国側はこれ以外の選択肢(= 例えば、日本政府や日本企業も出資する財団設立)に持ち込みたいのでしょうが、日本は拒否しなければなりません。
なぜなら、結論を出すのは韓国政府だからです。日本政府が求めているのは「徴用工裁判に対する韓国政府の対応策」であって、「交渉」を求めているのではありません。
これまで韓国政府は「日本側が誠意を持って、被害者の救済に当たる」との趣旨の発言を行い、責任転嫁を続けて来ました。『交渉』や『説明』は “非公式” に行うのですから、韓国にとって都合の良い解決策をマスコミの前で発表し、既成事実化を図ることは目に見ています。
そうした問題を防ぐという意味でも、首脳や外相レベルでの『非公式会談』や『説明』は不要と言えるでしょう。韓国との『密室外交』は日本に弊害をもたらすものであることを認識し、世間一般に公開することを当然とする二国間関係を構築する必要があると言えるのではないでしょうか。