日刊スポーツで「スペインへの移籍希望」を公言した香川真司の獲得に乗り出しそうなスペインの有力チームはどこか

 ドイツのドルトムントで “ほぼ戦力外” となっている香川真司選手が日刊スポーツのインタビューに応じ、「スペインへの移籍を成し遂げたい」と表明したとのことです。

 ただ、ドルトムントでも屈指の高給取りであることを考えると、スペインの下位チームに移籍する決断は下さないでしょう。そのため、UEFA が主催する大会に出場できる力を持ったクラブへの移籍が基本になるはずです。

 香川選手が移籍する可能性があるクラブを推察することにしましょう。

 

 W杯ロシア大会日本代表のMF香川真司(29=ドルトムント)が26日までにドイツ・ドルトムント市内で単独取材に応じ、今冬にスペイン移籍を目指す意向を表明した。

 (中略)

 「この2、3年、常にスペインに行くにはどうすればいいのか考えていた。スペインに行かずに、サッカー選手を終えることはできない。必ず成し遂げたい」

 ここまでの断言は、よほどの覚悟がなければ無理だろう。欧州各国から獲得興味を示されても、意中の国はただ1つ。もちろん、正式な形になるまでは「ドルトムントでベストを尽くす」つもりだが「人生初」という構想外の扱いには「チームからのメッセージだと思っている。今は新たなチャレンジ、スペインにモチベーションを費やすしかない。失うものはないし、必ず次のステージでも輝く自信がある」と力を込めた。

 

「外国人枠」という壁

 まず、スペインのリーガエスパニョーラには「外国人枠」が存在します。そのため、現時点で上限(= 3枠)に達しているチームに移籍することは難しいと言えるでしょう。

  • バルセロナ
    • アルトゥール、マルコム、ビダル
  • ベティス
    • 乾、サナブリア、シドネイ

 現状ではバルセロナとベティスの2チームが上限に達しています。もし、香川選手がバルサかベティスに加入するためには「誰か1選手を放出して外国人枠を開けること」が絶対条件なのです。

 これらのチームが “ドルトムントで戦力外となっている選手” を冬に獲得するために動き可能性は極めて低いと考えられます。

 

冬の移籍市場は “即戦力選手” を補強する意味合いが強い

 次に、冬の移籍市場は「チームに足りていないポジションの “即戦力選手” を獲得する」という動きが一般的です。したがって、香川選手が本職とする「9.5番」や「10番」の実力者がいる有力チームへの移籍も難しいと言えるでしょう。

  • レアル・マドリード
    • 9.5番:ベイル、アセンシオ
    • 10番:イスコ、モドリッチ
  • アトレティコ・マドリード
    • 9.5番:グリーズマン、A・コレア
  • バレンシア
    • 9番タイプの選手による2トップ

 ドルトムントから「ステップアップ」となるマドリード勢には香川選手が得意とするポジションが補強ポイントではありません。これらのチームが冬に選手を獲得するなら、「9番」であり、香川選手の獲得に乗り出す見込みは少ないと言わざるを得ないでしょう。

 バレンシアは「9番タイプの選手で2トップ」を組んでおり、「9.5番」や「10番」を必要としないチームです。今シーズンはスタートに失敗しましたが、現在は上昇気流に乗りつつありますので、こちらも獲得は少ないと言えるでしょう。

 

セビージャから獲得オファーがなければ、今冬でのスペイン行きは断念すべき

 香川選手が今冬でのスペイン行きを狙うなら、セビージャだけに焦点を合わせるべきでしょう。クラブとしての格がありますし、香川選手が勝負できるポジションとチャンスがあると考えられるからです。

  • ヨーロッパリーグを3度制覇
  • 第13節を終えて首位。2位バルセロナと勝点差1
  • マチン新監督はハイライン・ハイプレスを志向
  • 2トップの一角は「9.5番」

 清武選手が所属したセビージャがスペインの有力チームの中で最も理想的と言えるでしょう。ハイライン・ハイプレスを志向するマチン新監督の下、チームはリーグ首位に立っているのです。

 「ゲーゲンプレス」で一世を風靡したクロップ監督のドルトムント時代に輝いたのですから、同様のスタイルであるセビージャでも輝く可能性はあると思われます。

 ただ、ネックとなるのは資金面でしょう。セビージャは昨シーズンに巨額予算を組みましたが、チャンピオンズリーグの出場権を逃し、財布の紐が締められている状況です。

 また、ミランから期限付き移籍中のアンドレ・シウバ選手が点取り屋として結果を残しているため、まずはアンドレ・シウバ選手を買取オプションを行使するために資金を回すことでしょう。そのため、香川選手の獲得に本腰を入れるのかは不確実と言わざるを得ません。

 

 「都落ち」や「終わった選手」と見られても気にしないなら、リーガの中位から下位に位置するチームからのオファーはあるかもしれません。それを選手自身がどう評価するかでしょう。

 スペイン移籍によるステップアップは困難と考えられます。セビージャからのオファーがないのであれば、今冬のスペイン移籍は断念し、別の道を探すべきと言えるのではないでしょうか。