八重山日報、沖縄本島の新聞販売部数で順調な出だしを記録

 『琉球新報』と『沖縄タイムス』が牛耳る沖縄の新聞情勢に変化が生じていると産経新聞が伝えています。

 反米、反基地、反自衛隊の姿勢を鮮明にする2紙が絶対的な立場を築き、機関紙のような言論しか許されていない沖縄で “第3勢力” が伸びを見せていることは特筆すべきことと言えるでしょう。

 

 沖縄県石垣島を拠点とする日刊紙「八重山日報」が沖縄本島版の発行を始めて2カ月近くになる。「反米」「反基地」「反自衛隊」路線を貫く「沖縄タイムス」「琉球新報」の2紙が君臨する沖縄にあって、「中立公正な報道の実現」を掲げる“第3の県紙”は硬直化する報道姿勢に風穴を開けた。

 (中略)

 公称6000部にすぎない八重山日報の挑戦の反響は大きかった。年内に本島での新規購読5000部を目標にしているが、1カ月で2000部に達した。申し込みが殺到し「配達員の確保ができない」という悲鳴が漏れる。大半は2紙から切り替えた読者とみられる。

 

 1ヶ月で新規購読2000部を獲得したことはかなりのインパクトがあったと言えるでしょう。

 『琉球新報』と『沖縄タイムス』の牙城を揺るがすほどの数字ではありませんが、販売網がない状態からスタートしたことを考えると驚異的なことです。読売新聞が沖縄県で記録した2016年7〜12月の平均販売部数は589部。侮ることはできない状況と言えるはずです。

 

 ちなみに、読売新聞が公表している沖縄県の2016年7〜12月の平均新聞販売部数(Excel)は次のとおりです。

  • 沖縄県の世帯数:621,790
    1. 琉球新報:158,229(普及率:25.45%)
    2. 沖縄タイムス:156,340(普及率:25.14%)
    3. 日本経済新聞:5,752(普及率:0.93%)

 『八重山日報』は新規購読5000部を目標にしていますので、年内に3番手としてランキングに登場することが目標になるでしょう。

 『琉球新報』と『沖縄タイムス』は頭打ちに近い状況で販売部数を伸ばすことは難しいことです。これは業界全体が斜陽産業となっている中、沖縄県だけが好調な数字を残すという予測は非現実的なものだからです。

 

 沖縄の既存2紙は “押し紙” になっている部数があるはずであり、12万部台が実際ではないかと思われます。

 “押し紙” は『八重山日報』もあるでしょう。ですが、販売部数が少ないため、沖縄本島での純増数でカバーされることが予想されます。普及率である程度の数字を残すことになれば、官公庁や図書館といった公共施設が記事内容を確認する目的での購買が進みます。

 また、観光業がメインと主張する沖縄ですから、宿泊先となるホテルを対象に営業を強めることも1つの方針になると言えるでしょう。沖縄を舞台に戦いの火種が切って落とされた新聞販売競争がどのような結末を迎えるのかに注目です。