総合スポーツクラブが推進され、教員の部活動負担が軽減へと向かう道筋ができるのは歓迎すべきこと
「教員の長時間労働」が表面化した『学校の部活動問題』に対し、自民党が地域に統合型スポーツクラブを設置するとの提言案をまとめたと NHK が報じています。
現場の教員は “いじめ問題” への対応などが丸投げされており、教材研究といった本業に充てる時間すら満足に確保できていないでしょう。負担軽減策となる提言は歓迎すべきことと言えるはずです。
骨子では、学校での運動部の部活動について、少子化が進み部員の確保が困難になっていることや、教員が多忙になり顧問のなり手が不足していることから、「1つの学校だけで運営する従来型の発想では維持できない」として地域スポーツの一部として位置づけるべきだと指摘しています。
そのうえで、具体的には、地域に総合型スポーツクラブを設け複数の学校の生徒による部活動を推進するとともに、大会の参加資格を見直し地域のスポーツクラブごとに参加できるようにするとしています。
さらに、部活動に熱心な教員には地域スポーツの指導者との兼業を広く認めるほか、指導者の質を担保するため国家資格の創設も検討するなどとしています。
1:従来型の部活動が抱える問題点
部活動で問題が表面化しているのは運動部であり、問題点として以下の項目が指摘されています。
- 少子化で部員の確保が難しくなっている
- 部活を指導する顧問の成り手不足が深刻化
少子化による競技人口の減少は止むを得ないことです。
しかし、「指導者の不在」が理由で部活動や競技の続行に支障が出ている点については対策を講じることによる効果を得ることが可能です。そのため、改善に乗り出す意味はあると言えるでしょう。
2:『総合型スポーツクラブ』が選択肢に加わることは歓迎すべき
総合型スポーツクラブが “ユース部門” を持つことになれば、運動部に所属する生徒の何名かはスポーツクラブに籍を置くことになるでしょう。
それにより、一部の学校では運動部の顧問が負担から解放されるという恩恵を受けることができます。また、人数不足などで希望する部活が存在しない学校に通う生徒もスポーツクラブで競技をプレーすることが可能になるのです。
「競技人口を維持する」という点において、様々な競技を展開する『総合型スポーツクラブ』は “競技の入口” として理想的です。
課題はありますが、『総合型スポーツクラブ』にも扉が開かれる流れができつつあることは歓迎すべきと言えるでしょう。
3:“住み分け” がポイントになるだろう
新たに『総合型スポーツクラブ』が誕生し、ユース世代やジュニア世代を受け入れるようになると「どのように住み分けるのか」が課題となります。
「強豪クラブ」と「強豪校」が隣接する地区では “潰し合い” が発生する可能性があります。しかし、結果を重視するチームがどちらか一方のみであれば、上手く共存することはできるはずです。
オリンピックなどの世界大会でメダルを獲得できるような選手が育成される環境を整備するとともに、「競技の楽しさ」を子供たちに体験してもらうことも重要なことです。
競技を行うにはスポンサーからの支援が必要不可欠です。野球やサッカーという人気競技でもそうなのですから、マイナー競技と目される競技ほど “将来の顧客層” にアピールしておくことは大事なことだと言えるでしょう。
“将来の顧客層” と見ていた子供たちの中から、「パトロン」が1人現れただけで競技を取り巻く環境は激変するのです。未来に向けて種を播くことの重要性を見据え、制度の改善を議論する意味は大いに存在すると言えるのではないでしょうか。