テレ朝の基準では問題視されない闇営業で吉本興業に「コンプライアンス遵守」を要求しても無意味である

 「テレビ朝日が闇営業が問題となっている吉本興業に対してコンプライアンスの徹底を求めた」とスポーツ報知が伝えています。

 ただ、これは茶番と言えるでしょう。なぜなら、テレビ朝日は今回の問題に対する動きを何もしておらず、「テレビ朝日のコンプライアンス的には何ら問題ない」との姿勢を示していることと同じだからです。

 番組の放送自粛をしなければ、示しがつかないと言わざるを得ないでしょう。

 

 カラテカ・入江慎也(42)ら所属タレントを中心に詐欺グループへの闇営業が問題となっている吉本興業に対し、テレビ朝日がコンプライアンスの徹底を求めたことが14日、分かった。

 (中略)

 同局は「事務所を通さずに接触したことによって、逮捕される前だったとはいえ、振り込め詐欺や反社会的勢力の人物がいたとの指摘がある事業集団との関係を疑われる報道があったことは、誠に遺憾に思います」とし「所属事務所に対し、改めて所属タレントのコンプライアンス遵守の徹底を求めています」とした。番組の今後については「現時点では放送予定には変更はありません」とした。

 

テレビ朝日のコンプライアンスに抵触しないから、放送予定を変更する必要がない

 テレビ朝日が「放送予定は変更しない」と宣言しているのですから、「テレビ朝日が定めるコンプライアンスに抵触していない」とお墨付きを与えていることと同じです。

 つまり、吉本興業はテレ朝から「コンプライアンス遵守の徹底」を求められましたが、現状のままでも問題はありません。なぜなら、「テレビ朝日と同じ基準のコンプライアンスを設け、運用しています」と宣言できるからです。

 要するに、「今後は所属タレントの指導を徹底してまいります」と宣言すれば、具体的な再発防止策を講じる必要もなく、問題を終わったことにできるのです。テレビ朝日と吉本興業は「早期幕引き」で利害が一致しており、問題を矮小化するために忖度し合うことでしょう。

 

吉本興業から「コンプライアンス遵守の徹底」が保証されるまでは「アメトーーク!」の放送自粛を行うべき

 コンプライアンス遵守を掲げているなら、疑惑が持ち上がっているタレントが出演中の「アメトーーク!」の放送は一時的に自粛しなければなりません。

 これは「テレビ朝日は法令を遵守する企業体である」と世間に向けてアピールする必要があるからです。危機管理として必要な行為と言えるでしょう。

 その際、放送を自粛する期間は「無期限」ではなく、「吉本興業からコンプライアンス遵守の徹底が完了したとの連絡が来るまで」とすべきです。このような条件を設けることで「吉本興業の問題」とのメッセージを世間に送ることになるからです。

 ただ、テレビ朝日の対応は「人気番組のために吉本興業と一蓮托生を選択する」になっています。コンプライアンスを重視するスポンサーが離れると共倒れになる恐れがあるだけに経営判断としては首を傾げざるを得ないと言えるでしょう。

 

BPO はテレビ局に「コンプライアンスの遵守」を確認するよう声明を出すべき

 吉本興業に所属するタレントによる闇営業については BPO も「事態を注視している」との見解を出すべきです。なぜなら、BPO の役割は「放送倫理と番組向上」だからです。

 「倫理」という点で「コンプライアンスを遵守すること」は重要になります。これができていない疑いがあるタレントを現状のままで起用し続ける姿勢を示しているテレビ朝日に対し、釘を刺しておくことは BPO の役目であると言えるはずです。

 ただ、この役割を BPO が果たすことはないでしょう。基本的にテレビ局と癒着している BPO が自主的に在京キー局を批判することはありません。

 「言い逃れが難しい失態」があった場合に限り、しぶしぶ勧告を出している状況だからです。これでは番組の質が向上することは難しいと言わざるを得ないでしょう。

 

 線引きを拒み、“なぁなぁ” で済ますことを続けてきたのです。これでは「過去の出演作品を含めて撤去」しか選択肢が残されなくなるのは当然です。

 「新たな作品や番組の公開のみ自粛」などの選択肢は存在すべきあり、コンプライアンスの問題が浮上した際は一時的にこのような対応を採るべきでしょう。批判を受けずに好き勝手にやって来たテレビ業界が浮世離れした対応をして傷口を広げるのは想定された事象と言えるのではないでしょうか。