全豪オープンで大坂なおみをストレートで下したコリ・ガウフ、新女王候補争いに名乗りを上げる

 ディフェンディング・チャンピオンとして2020年の全豪オープンに臨んだ大坂なおみ選手は3回戦でアメリカのガウフ選手にセットカウント 2-0 で敗退しました。

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 コリ・“ココ”・ガウフ選手は2004年3月生まれの15歳と若く、新女王に上り詰める可能性は十分にあります。プレースタイルなどを確認しておく価値はあると言えるでしょう。

 

マルチナ・ヒンギスに匹敵する『早熟の天才少女』

 ココ・ガウフことコリ・ガウフ(Cori Gauff)選手の名前が世界中に知れ渡ったのは2019年のウィンブルドン(= 全英オープン)でしょう。

 ウィンブルドンがオープン化された後の史上最年少15歳で予選を勝ち抜き、本戦に出場。4回戦にまで勝ち進んでおり、この記録は天才少女として世界ランキング1位になったマルチナ・ヒンギス選手と同じです。

 ヒンギス選手は16歳の時に全豪・全英・全米の3タイトルを獲得しています。ガウフ選手が同様の成長曲線を描く可能性は十分にあるだけに、注目する価値のある選手と言えるでしょう。

 

ガウフのプレースタイルは『右利きの女版ラファエル・ナダル』

 ヒンギス選手と同じ15歳で頭角を現したガウフ選手ですが、プレースタイルは別物です。

 ガウフ選手の特長として真っ先に挙げられるのは「抜群のフットワークを活かしたコートカバーリング能力」です。つまり、ディフェンス能力が高い選手なのです。

 ディフェンス型の選手は「スライス」や「トップスピン」などの回転を付けたリターンを中心にしますし、ガウフ選手もこれらのプレーを難なくこなします。これらの能力だけだと珍しくないのですが、体格という部分でもガウフ選手は恵まれているのです。

 ガウフ選手の身長は 175cm、180cm で登録されている大坂なおみ選手とほぼ同じです。ガウフ選手は成長期の15歳ですから、身長はまだ伸びる余地があると言えるでしょう。

 昨年は「守備一辺倒」(に近い状態)だったガウフ選手が今年はサーブにも力を入れ、長い手足も活かし始めているのです。“クレーコート・キング” の異名を持つラファエル・ナダル選手(スペイン)を彷彿させるプレーを続けており、今後の成長は注目に値すると言えるはずです。

 

男子選手のような試合内容だった大坂なおみとガウフの対戦

 2020年の全豪オープン3回戦で対戦した大坂なおみ選手とコリ・ガウフ選手の試合は男子選手の対戦のような内容でした。

 両選手ともにサーブの速度は 180km を超え、サービスキープ合戦が発生。どちらの選手が「相手のミスを誘発してサービスゲームを落とさせるか」という状況だったからです。

 大坂選手もガウフ選手も潜在能力は間違いなくトップレベルです。自分のペースに持ち込んだ試合は圧倒的ですが、精神面の乱れがプレーに出やすく、そこが両選手の現時点での弱点と言えるでしょう。

 今年の全豪オープンでは大坂選手が先に崩れました。これはガウフ選手の堅守に対して「もっとコースに打たなければ」との意識が強くなり、それによってネットにかかるなどのアンフォースド・エラーが増えたことで自滅する結果となってしまったからです。

 一方でガウフ選手も「主導権を(先に)取れるか」や「大坂選手が王者のメンタリティーで盛り返した場合」に不安要素を抱えていたことは事実です。

 ただ、コイントスに勝ってサーブを選択してゲームキープに成功。最初のブレイクを奪い、直後のブレイクバックは防ぐなど運に後押しされた部分もありました。経験不足による大崩れは防げるものではないため、この部分が埋めることがガウフ選手の今後の課題となるでしょう。

 

 セリーナ・ウィリアムズ選手が長きに渡って君臨していた王座を手にすることになるかが大きな注目点と言えるのではないでしょうか。