朝日新聞、「アメリカ政府が日本に駐留費の5倍増を求める」と書いた2019年7月末の記事を小さく訂正する

 朝日新聞が2019年7月31日(と同年8月1日)に報じた「アメリカ政府が日本に駐留費を5倍にするよう求めている」との記事を訂正しています。

 記事の内容は当初から矛盾が指摘されていました。にも関わらず、朝日新聞は「事実」として報じました。記者の推測に基づく記事を掲載する朝日新聞にジャーナリズムを語る資格はないと言わざるを得ないでしょう。

 

朝日新聞が報じた記事の内容と訂正箇所

 朝日新聞が2019年に報じた記事を訂正したのが以下のものです。

画像:朝日新聞が当初報じた記事

 当初のタイトルは『米軍駐留費「日本は5倍負担を」』となっていましたが、この部分は後日付で削除されています。また、見出しの根拠となった記事中での具体的な言及箇所も同様に削除されました。

 訂正の理由は「具体的な数値への言及が確認できなかったため」とのことですが、これは問題と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、朝日新聞は「裏付け作業をせずに『見切り記事』を掲載している」と白状したに等しいからです。

 この報道姿勢は厳しい批判に浴びせられるべきだと言えるでしょう。

 

日本の駐留費に該当する “思いやり予算” は「5倍」にすると負担額がおかしくなる

 朝日新聞の記事を書いたのは土佐茂生記者ですが、記事には当初から疑問符が付けられていました。まず、アメリカが「駐留費を5倍にすること」を要求していた対象は韓国です。日本ではありません。

 日本の “思いやり予算” で在日米軍の駐留経費のほとんどが賄われています。

 また、アメリカ軍の再編経費も計上しているため、現状の5倍も負担することは不可能なのです。「アメリカ軍兵士の人件費」を賄いでもしない限り、“朝日新聞が要求額と報じた額” を負担することはできないでしょう。

 単年度で1兆円に近い金額を負担することは非現実的ですし、お隣の韓国は1000億円前後の負担額で “せめぎ合い” をアメリカと続けています。そのため、韓国政府に対しての発言を「日本に対するもの」と決めつけて朝日新聞が報じたと判断せざるを得ないでしょう。

 

『裏付けのない推論』を新聞社が「事実」として大々的に報じることは問題

 朝日新聞の土佐記者が書いた記事が問題なのは「発言内容を誤解したのではない」という点です。“実際にあった発言” を誤解したなら、それは「誤報」です。

 しかし、現実は “確認できていない発言” を基にした記事を配信したのですから、これは「捏造」です。

 捏造記事を「事実」という体で配信し、それを根拠に政権批判の材料にしているのです。これは『報道したい内容』が事前に決まっていたことが大きな原因でしょう。

 朝日新聞は「政府との対決姿勢を打ち出すことが『報道機関としての使命』との価値観」を基に紙面作りをする傾向が色濃く出ていますし、日米両政府を批判するためなら推測記事でも掲載することが今回の件で明らかになりました。

 見切り発車をした挙句、半年が経過しても自らが配信した記事の裏付けができないなど報道機関として致命的です。また、未確認情報を事実として報じるマスコミに対する罰則が皆無なのは是正項目としなければならないでしょう。

 『報道記事』で伝えた内容の “裏付け” がされていないのは問題です。フィクション程度の信憑性の記事を「事実」と大々的に報じたにも関わらず、誤報や捏造をしたことに対する責任が免罪される組織を野放しにしておく意味はないでしょう。

 誤って報じた内容と最低でも同程度の訂正報道がなされないのであれば、厳しい罰則を科すことができるように法体系を改正する必要があると言えるのではないでしょうか。