「PCR 検査を減らして感染者数を少なく見せている」等の陰謀論を流したマスコミに対し、感染研が「事実誤認」と反論

 国立感染症研究所(感染研)が公式ウェブサイトで「新型コロナウイルス感染症に関する事実誤認について」との趣旨の記事を掲載しています。

 「法律(= 感染症予防法の内容)と運用方法、感染研の役割をしっかり理解せよ」との強い言葉で報道機関を直接的に批判する内容であり、マスコミが事実を正確に伝えることができていないことは否定できないでしょう。

 したがって、誤報による医療崩壊を招こうとしてメディアは責任を取る必要がありますし、BPO などの監督機関は該当のメディアに対する処分を下す必要があるはずです。

 

感染研が掲載した記事の内容

 国立感染症研究所が3月1日付で公開した記事で最も重要なのは以下の部分でしょう。なぜなら、報道機関に対する “注文” が記されているからです。

画像:感染研の発表内容

 本所が「検査件数を抑えることで感染者数を少なく見せかけようとしている」、「実態を見えなくするために、検査拡大を拒んでいる」といった趣旨の、事実と異なる内容の記事が散見されます。

 まず、感染研の役割は「積極的な疫学調査」です。したがって、『PCR 検査』をするか否かの決定権を有しているのは医師であり、感染研の職員には検査実施の決定権はないのです。この点を無視したマスコミの論調は害悪と言わざるを得ないでしょう。

 ちなみに疫学的な優先順位は以下のものです。

  1. 陽性反応者との濃厚接触があり、風邪の症状が見られる人物
  2. 陽性反応者との濃厚接触はあるものの、何の症状も出ていない人物
  3. 陽性反応者との濃厚接触はないが、風邪の症状が見られる人物
  4. 陽性反応者との濃厚接触はなく、何の症状も出ていない人物

 陽性反応者との濃厚接触歴があれば、感染の確率は高くなるでしょう。新型コロナウイルスは突然発症するタイプではないため、「濃厚接触」に重点を置くことは疫学的に正しいと言えます。

 ただ、新型コロナは “見えない感染経路” が存在する状況です。そのため、感染を疑った現場の医師が『PCR 検査』を要請する権限があるのは当然であり、医師からの要望に応えられる検査体制が確立されていることが重要です。

 したがって、感染研の主張は適切と言えるでしょう。

 

偽陽性も多数検出される『PCR 検査』の早期実施を求めた NEWS23 やモーニングショー

 「希望者に対する『PCR 検査』の実施」を要求する声を伝えたメディアの1つは TBS の NEWS23 でしょう。これは番組に出演した上昌広氏の発言を保坂展人・世田谷区長がツイッターで紹介しています。

画像:保坂・世田谷区長のツイート

 また、テレビ朝日のモーニングショーでは「早期に『PCR 検査』を行う必要とは」と題し、玉川徹氏、大谷義夫氏、岡田晴恵氏らが積極的な検査を要求しました。

画像:モーニングショーの宣伝ツイート

 これらの番組に共通するのは「韓国は積極的に『PCR 検査』を実施しているのに日本は同等の医療リソースを投入しているとは思えない」という考えです。

 この考えには “致命的な落とし穴” があり、そのことを考慮しなかった韓国は代償を現在進行形の形で支払っています。医療制度を崩壊させる論調を流し続けたままで軌道修正に消極的なマスコミには厳しい罰則が不可避と言えるでしょう。

 

『PCR 検査』を早期にする価値があるのは「特異な治療法が存在するウイルスによる感染症」の場合だけ

 『PCR 検査』などのウイルス検査を可能な限り早期に実施する価値があるのは「特異な治療法が確立されている場合」に限定されます。理由は “特効薬” などを使えるため、早期回復が期待できるからです。

 しかし、新型コロナウイルス感染症には『特異な治療法』は存在しません

 感染が確認されれば隔離の対象となりますが、回復は本人の自己免疫力次第です。つまり、症状が出ていない感染が疑われる人に『PCR 検査』を実施することはナンセンスなのです。

 しかも『PCR 検査』の感度は高いとは言えず、「実際には感染していないのに陽性反応が出る偽陽性者」が一定の確率で存在します。このカテゴリーに入ってしまう人が医療リソースを消費してしまうことは覚えておく必要があるでしょう。

  1. 『PCR 検査』を実施すると、偽陽性反応者が発生
  2. 偽陽性反応かを見分ける術はないため、偽陽性反応者も「陽性者」として入院
  3. 実際には感染していない偽陽性反応者はその後の検査でも「陽性」と出る可能性は高い
    → 「回復していない」と判断され、入院生活が続く
  4. 病床が「症状のほとんどない偽陽性者」に埋められ、人工呼吸器などが使えない “入院難民” による犠牲者が生じる恐れ

 韓国のテグ(大邱)やキョンサン(慶尚)北道では「入院待ちの重症者が亡くなる」という事例が発生しており、『PCR 検査』で数を稼いだことの弊害が大きくなっています。

 医療崩壊が発生した方がマスコミは政府の対応を厳しく批判できます。また、検査結果が判明するごとに感染者数が増えて行くのですから、「報道に携わっている」という満足感が得られることでしょう。

 ただ、その弊害を受けるのは本来なら助かったはずの患者と遺族です。その視点が欠落したマスコミを甘やかす価値はどこにもありませんし、擁護の姿勢を崩さない BPO も解体させなければならないでしょう。

 

 『言論の自由』を守るためには「デマを報じて社会不安を煽る報道機関」に対して自浄作用を働かせなければなりません。これができないと、“時の政権” が『非常事態』を理由に言論を制限するための正当な根拠が形成されてしまうからです。

 手遅れになる前にデマを流したままで責任を取らずに逃げている TBS やテレビ朝日を断罪しなければならいと言えるのではないでしょうか。