スペインなどヨーロッパ諸国で “新型コロナによる人口100万人あたりの死者数” がイタリアの二の舞となるペースで急増中
新型コロナウイルス(covid-19)によってイタリアは深刻な被害が出ていますが、ヨーロッパ諸国が同様の事態に陥りつつあります。
特にスペインはイタリアの「二の舞」になっており、極めて深刻と言わざるを得ないでしょう。
スペイン、フランス、スイスなどで『新型コロナによる人口100万人あたりの死者数』が急増
北部で医療崩壊が発生したイタリアは『新型コロナによる人口100万人あたりの死者数』が現地3月13日の発表分で「20.9人」と悲惨な状況です。
ただ、問題なのはスペインなどが “イタリアが3月の第1週に記録した『新型コロナによる人口100万人あたりの死者数』の増加と同じペース” を記録していることです。
国によって人口が異なりますから、感染確認者や死者の絶対数はあまり意味がありません。しかし、「人口100万人あたり」とすると、感染者や死者の発生するペースから状況を同じ基準で確認することができます。
ちなみに、スペインは当局が現地13日に発表(PDF)した数値で死者は120名となっており、『人口100万人あたりの死者数』は「2.56人」となります。これは “イタリアが3月5日に記録した数値” とほぼ同じであり、「スペインは危険な状況にある」と言わざるを得ないでしょう。
また、スペインほどではありませんが、フランスやスイスも新型コロナウイルスの感染拡大を危惧すべき状況です。
「死者発生数のペースをどれだけ鈍化できるか」を最優先にした対応方針に切り替えなければ、取り返しの付かないことになるでしょう。
日本の『新型コロナによる人口100万人あたりの死者数』はイギリスと同じ数値で推移
なお、日本の3月第2週における『新型コロナによる人口100万人あたりの死者数』はイギリスと同じ数値で推移しています。
日本 (1億2610万人) |
イギリス (6600万人) |
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絶対値 | / 百万人 | 絶対値 | / 百万人 | |
3月9日 | 7 | 0.06 | 3 | 0.05 |
10日 | 9 | 0.07 | 6 | 0.09 |
11日 | 12 | 0.1 | 6 | 0.09 |
12日 | 15 | 0.12 | 8 | 0.12 |
13日 | 19 | 0.15 | 10 | 0.15 |
イギリスは島国であったため、新型コロナによる影響が生じるまでにタイムラグが存在します。フランスの約1週間遅れがイギリスで、ドイツはイギリスの2.5日遅れと言えるでしょう。
後発組に入った国は「『先行国の失敗』を確認した上で政策を決定することができる」という大きなメリットがあります。
“先頭集団” にいた日本は政府からの自粛要請による効果もあり、後発組の水準にまで感染を遅らせることには成功しています。そのため、他国の対策を見た上で方向性を決められる立場になりつつあるのですから、これを活かせるかがポイントになるはずです。
今後重要となる指標は「新型コロナによる “週ごとの” 死者数」
今後は「新型コロナウイルスによる週ごとの死者数」がより重要な指標となるでしょう。
本記事で紹介している『新型コロナによる人口100万人あたりの死者数』は「死者数の累計値」を用いてグラフ化を行っています。したがって、収束しても『新型コロナによる人口100万人あたりの死者数』に変化は起きないという “欠点” があります。
そのため、『新型コロナによる人口100万人あたりの “週ごとの” 死者数』を用いることで「流行の度合い」を確認する形にシフトしていくべきと言えるでしょう。
ただ、「人口100万人あたり」とすると『週ごとの死者数』は「1を下回る」ため、世間一般のイメージを抱きにくくなります。現実的には「人口10万人あたりの “週ごとの” 死者数」を使うべきです。
医療崩壊を起こしたイタリアや韓国はこの数値が「5」を超えています。「2以下」なら上々ですし、「1未満」が続いているなら特別な対応は不要と割り切る必要があるのではないでしょうか。