高浜原発3・4号機の運転差し止め仮処分を命じるなら、原告らに月額120億円の供託金を支払わせるべきだ

 NHK によりますと、大津地裁の山本善彦裁判長は原告側の訴えを認め、「福島の原発事故を踏まえた事故対策や緊急時の対応方法に危惧すべき点があるのに、関西電力は十分に説明していない」として、運転の停止を命じる仮処分の決定とのことです。

 

 福井県にある関西電力・高浜原発3号機と4号機について、滋賀県内の住民29人は再稼働前の去年1月、運転の停止を求める仮処分を申し立てていました。

 これについて大津地方裁判所は9日、3号機と4号機の運転の停止を命じる決定を出しました。

 

 決定で大津地裁の山本善彦裁判長は、「福島の原発事故を踏まえた事故対策や緊急時の対応方法、基準となる地震の揺れの策定についても危惧する点がある」などと指摘しました。

 決定はさらに「津波対策や避難計画についても疑問が残り、住民の権利が損なわれるおそれが高いにもかかわらず、安全性について電力会社は十分な説明を尽くしたとは言えない」として、3号機と4号機の運転の停止を命じる決定を出しました。

 

 地震の揺れを記載した基準地震動700ガルが小さいと主張しているようですが、福島では530ガルでした。そして、見落としてはならない点は地震動で原発の配管は破壊されていないことなのです。

 つまり、地震の揺れによる被害で原発事故が起きたのではなく、津波が原因だったのです。山本善彦裁判長の見解は明らかに反原発派に肩入れした判決と言わざるを得ません。

 

 今回の原告は滋賀県内の住民29名ということですが、彼らには原発の運転停止によって生じたコストを負担する責務が存在します。

 どういうことかと言いますと、高浜原発3・4号機の運転を止めますと、1基につき月額約60億円の費用が増加します。
 コスト算出の計算式はこちら

 山本裁判長が下した判決は仮処分であり、今後の裁判で処分そのものが覆される可能性があります。要するに、原告の誤った主張内容により関西電力管内の消費者に高額な電気代の支払いを強いる可能性があり、その場合の責任を負うべきであるということです。

 整理すると次のようになります。

  1. 今後の裁判で原告敗訴
    • 原告の訴えにより、関西電力の消費者が割高な電気代の支払いを余儀なくされる
    • 原告が(仮処分の)供託金という形で原発の運転停止分の値上げ分を穴埋めしていれば電気代は上がらない
  2. 今後の裁判でも原告勝訴
    • 原発停止により電気代は上昇するが、供託金は原告に戻る

 

 原子力発電に対して、どのような意見を持つかは自由なことです。ですが、“発電の差し止めを求めておきながら、自分たちは電気代上昇のリスクを負わないという姿勢” が反原発派の支持が一般に広まらない理由です。

 原発に経済的な損失があると主張するのであれば、その明確な数値を示した上で、「その損失額は高浜原発3・4号機を停止させて生じる月額120億円よりもはるかに大きいものであり、だから原発は止めなければならない」と主張すべきなのです。

 経済的な損失を考慮せずに、「ただ不安だから」という感情論を根拠に止めておいた方が無難という程度の発想で判断するのは危ないことと言えるでしょう。なぜなら、この感情に訴えるのはポピュリズムと同じだからです。

 

 それとも、反原発運動というものは、月額120億円の価値すら存在しない程度のものなのでしょうか。“国民的運動” と主張するからには月額100億円程度の供託金はすぐに準備できるはずです。おそらく、朝日新聞や孫正義氏を始めとする熱心な反原発派が支援してくれることでしょう。

 それすらもできないのであれば、国民的運動を自称するだけのトラブルメーカーと言い切って問題ないのではないでしょうか。