反原発派、原発運転差し止め訴訟は “スラップ訴訟” であることを事実上認める
関西電力に大飯原発の運転停止を要求する裁判を起こしていた原告が高裁で敗訴となったことを受け、「最高裁への上告はしない」と発表したと読売新聞などが伝えています。
その中で注目すべきは上告断念の理由でしょう。なぜなら、「最高裁で判断が全国での同様の訴訟に影響が出るから」と明言しているからです。これは一連の訴訟が “スラップ訴訟” であることを認めており、厳しい批判にさらされるべきものです。
関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)を巡り、福井県や大阪府などの住民らが関電に運転差し止めを求めた訴訟で、原告の請求を棄却した名古屋高裁金沢支部の判決について、住民側は17日、上告を断念すると発表した。上告期限は18日で、同支部判決が確定する見通し。
原告団の中嶌哲演団長は「最高裁が高裁支部と同様の判断を示した場合、全国の同種訴訟に影響する」と話した。
1審の福井地裁・樋口英明裁判長が下したような “デタラメ判決” が高裁では出されず、最高裁でも望み薄なのです。
『ゼロリスク』を要求する原告側の主張が認められることは非現実的ですし、最高裁が「反原発派の幼稚な理屈」を支持することもないでしょう。そのことを自覚しているから、上告せず、スラップ訴訟戦術に打って出ているのです。
スラップ訴訟を行う反原発派に供託金の納付をさせるべきだ
反原発派は「原発の運転停止」を求めた訴訟を起こしていますが、高裁ですべて敗訴となっており、最高裁へ上告したケースは1つもありません。
その理由は最高裁で判決を下されると、高裁や地裁が “最高裁の判例” に沿った判断を下すからです。
つまり、「原発の運転停止要求は不当」という判決が最高裁で出ていまうと、地裁や高裁で審議されている訴訟が『前例』の影響を受けることになるのです。原告敗訴の可能性が高い案件であるため、“飯のタネ” を失いたくない活動家が訴訟を乱発する戦術で嫌がらせをしている状態なのです。
このような “スラップ訴訟” を野放しにしておくことには大きな弊害が伴います。少なくとも、原発の運転停止を求める原告に対し、供託金の納付を要求といった “真っ当な対応” が必要と言えるでしょう。
反原発派には酷暑による電力不足が起きているのだから、節電に励まなければならない
また、(関西圏の)反原発派は節電に励まなければなりません。なぜなら、全国的な酷暑が襲った18日に関西電力は他社からの電力融通を受ける事態になっているからです。
関西電力は18日、猛暑の影響で電力の需給が逼迫したため、ほかの電力会社から供給を受けたと発表した。経済産業省の認可法人、電力広域的運営推進機関を通じ、午後4~5時に100万キロワットを融通してもらった。同時間帯の使用率が自社の供給力の98%を超えると見込まれていた。
関西電力は17日にピーク時供給力の不足が懸念され、他社から 100万kW の電力融通を受けました。これが「反原発派の節電」と結びつけられる理由は関電の保有する原発の運転状況にあります。
発電所 | 出力値 | 運転状況 |
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美浜3号機 | 82.6万kW | 2020年に運転再開予定 |
高浜3号機 | 87.0万kW | 運転中 |
高浜4号機 | 定期点検中 (2018年5月〜10月上旬の予定) |
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大飯3号機 | 118.0万kW | 運転中 |
大飯4号機 |
原発4基を再稼働させている関西電力は高浜原発4号機が定期点検中です。そのため、87.0万kW 分の発電能力が損なわれている状態であり、酷暑で 100万kW の融通を要請することになりました。
反原発派は「原発がなくても、電力は足りている」と主張していますが、そうではない事例が関西圏で起きたことは重く受け止める必要があります。少なくとも、節電の先頭に立つ必要があるはずです。
電力の安定供給を “スラップ訴訟” で阻害しようとしている反原発派こそ、厳しい批判にさらされるべきでしょう。代替電源も用意せず、消費者に高額な電気代を強いることなど支持できるものではないからです。
原子力発電所の運転を停止させたいのであれば、(反原発派がプッシュする)再生エネが原発をコスト面で上回れば良いことです。そうすれば、原発が占めるシェアは低下していくことでしょう。
イデオロギーに凝り固まった活動家が主導する環境運動は社会に大きな害を与えており、このような姿勢を応援するメディアもまた同罪と言えるのではないでしょうか。