教職員に政治的中立が求められるのは当然であり、罰則も不可欠だ

 産経新聞』によりますと、自民党は秋に行われる臨時国会で教職員の政治活動に罰則を設ける法改正を行う目的を持っているとのことです。

 教育公務員特例法では「政党または政治的目的のために、政治的行為をしてはならない」との規定は存在しますが、罰則がないため野放しになっているとの指摘がありました。

 

 実際、苫小牧西高(北海道:公立)の教職員が規則に抵触する行為を行っていたことが北海道新聞が伝えています。

 苫小牧西高(丸山由之校長、474人)の教諭が4月下旬、校門前で安全保障関連法に反対する署名活動やビラ配布を行い、問題視した学校側がビラを回収するとともに、署名した生徒の氏名を聞き出していたことが9日、分かった。

 同校などによると、4月26日午前、年休を取った同校の教諭2人が校門前で安全保障関連法への反対署名を呼び掛けるビラ約200枚を登校中の生徒に配った。さらに同日午後、教諭のうち1人が校門前で署名活動し、生徒2人が応じた。

 

 「年休を取得し、学校敷地外で呼びかけていた」という点については法に抵触することはないでしょう。ですが、安保法制反対署名を集めていたという事実は「政党または政治的目的のために、政治的行為をしてはならない」という規定に抵触することは自明です。

 教諭2名が加入する教職員組合は「問題ない」と擁護していますが、勤務先の校門前で教諭がビラを配り、署名活動を行うことは著しく中立性を欠いていると言えるでしょう。

 生徒の成績(特に内申点など)は教諭のさじ加減で上下できるものなのですから、特定の思想・信条を押し付けている疑いのある行為は自制しなければならない立場です。この自覚を持たない教員は反面教師とすべきです。

 

 改正案では「3年以下の懲役又は100万円以下の罰金」程度の罰則を科することが想定されていますが、それを私立学校にも適用する必要があります。なぜなら、私立学校にも国や地方自治体からの助成金が投入されているからです。

 助成金を受けている立場でありながら、特定の主張や政党に肩入れする政治活動は明らかに不適切です。規制されることに嫌悪感を覚えるのであれば、国や自治体からの助成金を辞退すべきでしょう。

 憲法89条にも「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」とあります。

 “立憲主義” を取り戻すと主張する勢力は憲法89条に抵触している私立学校を批判すべきではないでしょうか。助成金を受け取り、政治活動をするような教職員は厳罰に科すべきと言えるでしょう。