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サッカー日本代表は「戦術的にどう戦うか」を徹底すべき

スポーツ

 2018年のロシアW杯に向けたアジア最終予選で日本代表はタイ代表に 0-2 で競り勝ち、成績を1勝1敗の勝点3としました。

 試合内容という点では2試合とも良くないものでした。「自分たちのサッカー」という理想は現実の対戦相手国に研究され、対策が施されていることを自覚する必要があると言えるでしょう。

 

表1:2018ロシアW杯アジア最終予選・グループB
チーム勝点
オーストラリア 2 2 0 0 6 3 0 +3
サウジアラビア 2 2 0 0 6 3 1 +2
日本 2 1 0 1 3 3 2 +1
UAE 2 1 0 1 3 2 2 0
イラク 2 0 0 2 0 1 4 -3
タイ 2 0 0 2 0 0 3 -3

 

 現時点でUAE(アラブ首長国連邦)戦とタイ戦の2試合を終え、勝点は3。日本に不利なジャッジがありましたが、試合の内容は称賛できるものではなかったことも事実です。

 日本の攻撃がパス交換による中央突破を頑なに貫く傾向があるため、どのチームを「中央を固める(=バスを置く)」、「プレスをかけ、余裕を持ったパス回しを制限する」といった形の対策を講じています。

 リスクマネジメントがでており、中央突破に依存する形であっても得点し、勝利(=勝点3)を獲得できているなら、批判は起きないでしょう。しかし、実際には横パスをカットされてピンチを招いたり、攻めあぐねが起きています。そのため、チームとしての修正が不可欠と言えるでしょう。

 

 ロシアW杯アジア最終予選はグループリーグ戦ですが、実態は一発勝負の積み重ねと見るべきです。そのため、最終予選全体の “戦略” とともに、個別の試合ごとの “戦術” も重要視する必要があります。

 特に、“戦術” では「カバーできる部分」と「できない部分」があり、チームが抱える問題箇所を試合中に如何に露呈させないかが戦術を駆使する上で1番の見せ場となります。

 戦術をどのように活用するかを具体的な例を出して、論じることにしましょう。

 

1:スタジアム環境とジャッジの傾向

 ホーム&アウェイ方式で最終予選が行われる訳ですから、ピッチ状態によってプレーの質が大きく左右されることとなります。

 日本の整備されたピッチで試合が行われる場合、ショートパスを主体とした戦術は問題なく遂行できるでしょう。しかし、芝が荒れている、デコボコ、滑りやすい、風が強い、酷暑などスタジアム環境によってはパスを繋ぎにくい状況での試合を余儀なくされる場合があるのです。

 その場合の “プランB” を戦術として用意しているかは大きな分岐点と言えるでしょう。

 また、審判の判定傾向を事前に把握し、頭に入れてプレーする必要があります。特定の “判定基準” があるなら、それを味方にする戦術が存在しないかを探るべきであり、対策をしなければなりません。

 出身地のチームがプレーする試合を担当できないルールが存在するのですから、審判がフェアな裁定をするとは限らないとの前提を持ち、ジャッジの基準を見抜く必要があります。

 

2:1対1(=デュエル)での力関係

 おそらく、1対1(=デュエル)が戦術でカバーしきれない1番の部分です。FWとDFでの「空中戦での高さ勝負」や「スプリントの速さ」といった力関係に大きな差があった場合、戦術でカバーすることは難しいでしょう。

 例えば、最終予選の2試合で日本代表はサイドからのクロスを攻撃のオプションとして頻繁に利用しました。しかし、エリア内で待っていたのは岡崎選手と香川選手という空中戦での高さを持たない選手がメインでした。

 “高さ” が足りない部分を戦術で補うことは難しく、得点するには “高さ” 以外の要素である “スペースへの走り込み” を使うアーリークロスなどを戦術として用いる必要があったと言えるでしょう。

 逆に守備の場面では「DFラインが高く、背後のスペースがある状況」で、機動力のある相手FWに引っ掻き回されている傾向が強く出ています。スピード自慢のFWに走るスペースとボールを持たせることがどれだけ驚異であるかは浅野選手がJリーグの舞台で証明済みですから、知らなかったで済む話ではありません。

 そうした状況を招かないために、チームとしてどう動くのか。また、その状況を作られた場合、どう対処することで損害を最小限に抑えられるのかをチームとして意思統一しておくことが重要だと考えられます。

 

3:中心選手が狙い通りのポジションでボールに触っているか

 どのチームも攻撃を組み立てるために不可欠な中心選手が存在します。多くの場合が上手い選手なのですが、その選手がどれだけボールに触れているか。また、ピッチ上のどの位置で触れているのかも戦術的に重要な要素です。

 日本代表では本田選手や香川選手が攻撃の軸であり、この2人が「前後や横幅という形で良い距離感を持ち、相手エリアに近い位置でボールに触れる」回数が多ければ攻撃がうまく機能していると言えるでしょう。

 逆に、2人のポジションが重なって同じような場所にいる、ボールに頻繁に触れるが自陣エリアに近い位置であれば、攻撃の組み立てが上手くできていない証拠です。チームのヒエラルキーを変えない限り、彼ら2選手に相手陣内の深くで決定的な役割をさせるために周囲の選手が戦術的に動く必要があり、ハリルホジッチ監督もその準備をする必要があります。

 しかし、ヒエラルキーの頂点を点取り屋であるストライカーに置くのであれば、別の戦術(FWは裏のスペースを常に狙い、MFはそこへのスルーパスを最優先するなど)を用意し、チームに徹底させなければなりません。

 

 攻撃では自分たちが理想とする形を実現するために戦術的に動く必要があります。また、守備では相手が得意とする形を避けるために戦術的に守ることが要求されます。

 戦術に関係なく相手を打ち破ることができれば理想的ですが、分析技術が発達した現在サッカーでは分析した上で駆け引きを行う戦術的要素が占める割合が高くなったと言えるでしょう。

 まずは結果を出すことを優先し、内容を評価することは二の次とすべきです。そのためには「戦術的にどう戦うのか」を明らかにし、その成果をピッチ上で示すことなのではないでしょうか。