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JR北海道が日高線・鵡川〜様似間の廃止を伝達することは当然だ

経済

 JR北海道は高波による被害を受けた日高線の復旧を断念し、廃止する方針を沿線の自治体に伝達したと北海道新聞が報じています。

 地元自治体の首長からは批判の声が出ていますが、民間企業として不採算路線に “テコ入れ” することは当たり前のこと。むしろ、すべての負担をJR北海道に押し付けようとする沿線自治体の姿勢が「厚かましい」と言えるものです。

 

 JR北海道の島田修社長は21日、日高管内浦河町で説明会を開き、昨年1月の高波被害で不通が続く日高線鵡川―様似間(116キロ)の復旧を断念、廃止してバスに転換する方針を沿線8町に伝えた。

 

 JR北海道が日高線の廃止を決定した理由は次の3点であると北海道新聞が報じています。

  1. 高波被害による復旧費が86億円
  2. 路線維持に必要な年間13億4千万円についての地元負担なし
  3. 赤字額は年間11億円

 要するに、日高線の沿線自治体が “ムシの良すぎる要求” を突きつけた結果、JR北海道が廃線を決断する大きな後押しとなったということです。

 

 年間11億円の赤字を出す路線を86億円を投じて復旧させるメリットがどこにあるのでしょうか。

 日高線の沿線自治体は「維持費で年間11億円の赤字を生み出す公共物を86億円の費用を投じて建設する」という予算が議会で可決されるかを考えるべきです。おそらく、多くの自治体では多額の赤字を計上することを理由に否決されるでしょう。

 仮に、議会を通過したとしても、住民監査請求の対象となり、マスコミから “無駄なハコモノの象徴” として槍玉にあげられるはずです。

 同じ公共目的で利用される “ハコモノ” には厳しい批判が向けられるのに、鉄道には「いかなるマイナスがあろうとも、事業者が努力をして、鉄道網を維持しなければならない」という姿勢は不公平と言わなければなりません。

 

 「地方の衰退に拍車がかかる」という主張がありますが、衰退するのは地方ではなく地方自治体です。

 これまでは地方交付金という形で “身の丈を大幅に上回る財政” を組むことが可能でしたが、国の財政が厳しくなる現状で維持することは難しくなっています。また、都市部の情報が入手しやすくなったことにより、暮らしやすい地域へと移り住む流れが固まりました。

 人を呼び寄せるには『XXをするなら、ーーが最高』といった明確な指標が欠かせません。

 しかし、交付金を得ることが当たり前になっている自治体は「国が地方の苦しみを理解し、援助すべき」という発想が先行するため、自分たちが資金を出さなければならない立場であることを自覚していないと思われる言動が目に付きます。

 このような姿勢では民間企業は魅力を感じず、JR北海道のような “公共色の強い企業” でも見切りをつけることになるのです。国からの交付金に甘えることが当たり前になっていた地方自治体に突きつけられた現実と言えるでしょう。

 

 企業に対する要求が多い行政が存在する地域は企業から敬遠されます。そのため、そうした地域に積極的に進出する企業は少なくなり、有力企業も体力を蓄えた段階で拠点や本社機能をその地域から移転させることになるでしょう。

 採算の取れない分野からは早期撤退することはビジネスでは重要なことです。JR北海道は企業として正しい決断をしました。地元負担を拒み、「赤字であっても、地元に貢献せよ」と要求する姿勢は “ブラック自治体” と呼ぶに相応しい振る舞いです。

 日高線沿線の8自治体には『第1回全国ブラック自治体選手権大会』の優勝自治体として、その名を後世にまで語り継がれるべきと言えるのではないでしょうか。